【未解決】砂に沈む町

発生日時:2023年4月
発生場所:ガラル地方・フォードレッチシティ
関与ポケモン:スナバァ(1体・野生)


【未解決】砂に沈む町

2023年4月、ガラル地方北東部の再開発エリア《フォードレッチシティ》にて発生した以上事件は今も物議を醸している。

この町はもともと古い鉱山跡地を埋め立てた造成地で、再開発プロジェクトの一環として分譲住宅地が整備され当時、同時期に多数の家族が入居したばかりだった。
異変が最初に報告されたのは入居から2週間後のことで、ある家族が家が傾いていると感じ、試しに床に置いたビー玉が一方向に転がり続けたことから施工業者に調査を依頼した。
その後、同様の苦情が周辺の住宅からも次々に寄せられ、建築士による確認の結果、全ての家が分譲住宅の中央に位置する公園に向かって傾いていることが判明した。

異常の中心と見られた公園にはすぐに市の建設局および民間調査会社が派遣され地質検査が行われることとなった。
しかし調査開始直後、公園の中央の地面が突如として数十センチ陥没したかと思うと大きくうねりはじめ、調査員達が次々に転倒し、最終的に公園の中心部から巨大な砂柱が巻き上がった。
砂柱は勢いを増していき徐々にそれが異常なまでに巨大な《スナバァ》であると全員が気づいたが、気付いた頃には瞬く間に公園内に足を踏み入れていた調査員達を飲み込むようにして地中へ引きずり込んでいったという。

公園外にいた調査員により即通報され、駆けつけたポケモンレンジャー部隊と地元警察が現場を包囲し、周辺住民には避難命令が出された。
住民たちは町の北にある丘の上からスナバァが自らの体を砂嵐のように拡散しながら暴れ回り周囲の住宅も次々と崩落させていく様を何も出来ずに見続けた。

戦闘開始後レンジャー本部からも特殊隊が応援に駆けつけ最終的に投入されたポケモンの数は総計《52体》に及んたが、スナバァを傷つける事も弱らせる事も出来ないまま全てのポケモンが戦闘不能に陥った。
数時間に及ぶ激戦の末、もう戦える者が残されておらずその場にいたほぼ全ての人が絶望に打ちひしがれていると巨大な地震が発生した。
すると地震とともにスナバァは公園の中心を軸とするようにして、全身が吸い込まれるように地中へと崩れていき姿を消し、やがて残されたのは静寂と公園の中央に穿たれた深さ40メートルはある巨大な陥没孔だけだった。

この戦闘により最初に現場調査に入った地質技師3名を含む計8名の調査員が行方不明となり、また戦闘に投入されたポケモンのうち11体も砂に飲まれたまま戻ってこなかった。
生存者のほとんどは打ちひしがれた様子で崩れ落ちるようにその場に座り込み、沈黙の中でただ風が吹き抜けていたという。
人間とポケモンの総力をもってしても止められなかったことが、完全敗北という重い事実が現場にいた全員の表情に深い影を落とした。

現場に残されたのは完全に崩壊した公園と、その周囲に広がる瓦礫と化した住宅街だった。
この時破壊された建物は27棟、半壊を含めれば150棟以上にのぼり、分譲住宅地の残りの開発計画は全て中止され、フォードレッチシティ一帯は広範囲にわたって立入禁止区域に指定された。

家を失った住民には仮設住宅への一時移住が提供され補助金が配られたが、家屋の完全消失による補償には十分とは言い難く、住民たちは市に対し連日のように抗議し続けた。
中でも中心的に声を上げたのは入居初期から再三の傾きに異議を唱えていた住民グループであり、【事前調査が十分であれば避けられた】と主張し、仮設住宅に住み続けながら1年以上にわたって公園跡地や市役所近辺で座り込みによるデモ活動を継続している。
しかし、フォードレッチシティ周辺の住民は当初こそ彼らの姿勢に理解を示す声もあったが、次第に『道路を塞がれている』『治安が悪化した』などの不満が募り、現在では元住民と周辺地域の住人との間で幾度も小競り合いが起きている。

この異常なまでに巨大で強すぎるスナバァが何の目的で出現し、なぜあれほどの規模と力を持っていたのか、また本当に野生個体であったのかなどは未だ解明されていない。
あの日以来スナバァの姿が再び確認されることはなく、現場に遺されたのは巨大な穴と、未だ空虚な仮設住宅群、そして砂の中に埋もれたままの家々だけである。
行方不明となった人々もポケモンも今もまだ発見されていない。

――文・【ジョージ・スミス】(ガラル異常事件調査班)


【管理人の考察】

スナバァがいつから存在したのか

住宅が全て同じ方向へ傾いたと報告された時点で既に地中に存在したスナバァが何らかの目的で周囲を吸い寄せており手遅れであったと考えられる。
だが一番の問題はスナバァがいつからこのようなことを行っていたのかということではないだろうか。
地盤沈下は通常であれば長い年月をかけて行われるが、建築中にも一切気づかなかった事から数日、もしくは数週間ほどで発生した可能性が高い。
つまりその瞬間までスナバァフォードレッチシティに存在していなかったのではないだろうか。
何をキッカケに現れ、なぜ唐突にいなくなったのかは謎のままである。

破壊的な暴走

突如現れたスナバァの行動は本来の生態から逸脱しており、積極的に住宅街に干渉し、調査員を攻撃し、周囲を徹底的に破壊している。
これほどまでに明確な敵意や攻撃性を示す野生個体が果たして自然発生した存在だったのか疑問が残る。
過去に鉱山の埋め立てや地中構造物の放棄などにより人為的な環境改変が行われ、スナバァの生態領域を著しく侵害していたとすればそれに対する一種の報復だった可能性も否定できない。

超越した存在

スナバァが巨大なだけでも驚きだが、その圧倒的な戦闘力には通常の野生個体とは到底思えない異様さがあるのではないだろうか。
《総勢52体のポケモン》を戦闘不能に追い込み、建物27棟を完全崩壊させた力は最早《個体差》で説明できる範囲を明らかに超えている。
もしこのスナバァが本当に自然個体だとするなら既知の分類とは異なる突然変異的な進化段階にあった、あるいは地中で長期間にわたる外的影響を受けて変質していた可能性もあるのではないだろうか。
あるいは何者かにより人為的に強化され、放棄、または野に放たれた個体だったとすればあの暴走の理由もまた別の意味を持ち始める。
その真相を明らかにする鍵は事件以前にこの地で行われていた《再開発の詳細》《鉱山跡地の封鎖経緯》に残されている可能性があるが、それらが表に出ることは今もまだない。

消えた者達の行方

行方不明者の捜索が現在も続けられているにも関わらず手がかりは一切得られていない。
これは単に砂に埋もれたというよりも《スナバァに取り込まれた》、あるいは《別の空間に引きずり込まれた》とも言えるような異常性を想起させる。
スナバァが姿を消す前に地震が発生し地中へ吸い込まれるように消えたという報告からは、地形そのものが通常の物理法則では説明しきれない作用を受けていた可能性を示唆しているのではないだろうか。

封じられた街の沈黙

事件後、フォードレッチシティは事実上封鎖されたがそれ以降この件に関する公的調査結果や報告書の公表は一切ない。
住民の声が制度に届かず、かつ周辺住民との軋轢ばかりが報じられる現在の状況はこの土地が《触れてはならない場所》として扱われ始めている印象さえ与える。
再開発の名のもとに掘り起こされた旧鉱山の地中にはいったい何が埋もれていたのか。
もしくは地中にはナニカ記録に残されていないモノが埋められたのか。
あの巨大な穴の底に真相へ通じるナニカが眠ったままなのかもしれない。

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