【未解決】天昇る光の竜

発生日時:1874年7月
発生場所:フィオレ地方・カロラ谷村
関与ポケモン:ジジーロン(1体・野生)


【未解決】天昇る光の竜

1874年の盛夏、フィオレ地方カロラ谷村山中で山菜採りをしていた村人が突如地響きのような重低音とともに頭上を覆うほどの巨大な閃光を目撃した。
振り返った彼の目に映ったのは尾根の上方から空へと昇っていく、《光をまとった巨大な竜》のような存在だったという。
それは一瞬のうちに雲を貫き、轟音とともに空へ溶けていき、その後暴風が吹きすさびしばらく立ち上がれなかったという証言が残されている。

村人がその発光の発生源を辿るように山を登っていくとそこには小さな祠があり、その周囲には子供のものと思われる靴や小さな髪飾り等が散らばっていた。
周囲には足跡も4人分確認されており、いずれも祠の正面で止まっていたがそこから先へと続く痕跡は見つからなかった。

その日のうちに村へ戻った村人は事の一部始終を伝えると住民の間に緊張が走ることとなる。
村では4名の子供たちが同時に行方不明になっていたことが判明し、家族の証言から彼らが朝に『祠の方へ探検に行く』と話していたことも明らかとなった。
その後、村人総出での山狩りが始まり捜索は数日間にわたって行われたが、子供たちの姿はどこにも見当たらず足取りも途絶えたままだった。

そして五日目の午後、手がかりもないまま疲れ果てた数人の住民が祠のあった場所を再確認しようと訪れたところ信じがたいものを目撃する。
それは祠を包み込んでもなお有り余る程巨大な《体毛に覆われた白い竜》が静かにとぐろを巻いて佇んでいた。
曇天の空を背に浮かび上がるその姿は神秘的というよりも異様で、正確な体長は測れなかったが少なくとも15メートル以上はあったという。

村人がその姿に怯え立ち尽くしていると竜はゆっくりと村人たちへ視線を向け、ただジッと彼らを見下ろしていた。
しばらくそのまま沈黙が流れた後、竜はため息をつくように一つ大きく長い息を吐き出し、地響きを起こしながら森の奥へと滑るように姿を消していった。
その日以降、村の中で白い竜を目撃した者はおらず、子供たちの行方も依然として不明のままとなった。
痕跡とされるものは祠の前に残された持ち物のみであり、それらも後に保管されたが調査によって得られた新情報は一切ない。

 

近年の研究によりこの事件で目撃された白い竜が《ジジーロン》であった可能性が高いとする報告が出されている。
しかし当時、カロラ谷周辺にはジジーロンの生息記録は一切存在しておらず、また報告された体長を考慮すると既知の個体よりも遥かに大きい為、別のポケモンだった可能性も考えられている。
だがこれに対して一部では『伝承や恐怖心が誇張を招いたのではないか』という意見もあるが、当時の目撃者全員が同様の証言を行っていることから簡単には否定できないという立場の研究者も多い。

《子供達がどこに消えたのか》《本当に祠の前で姿を消したのか》《白い竜と何らかの関係があったのか》といった核心的な問いには150年近く経った今も誰ひとり答えることができないでいる。
なお、かつてその出来事が起きたカロラ谷村も20世紀初頭には住民が離れ、今は廃村となって久しい。
事件の真相を明らかにするためには過去の証言とわずかに残る資料を手がかりにするほかないが、現地は現在山林保護区に指定され祠も山中深くに埋もれているとされている。

――文・【セラ・アルディオ】(フィオレ環境信仰史学会)


【管理人の考察】

連れ去られた子供達

普通の遭難ならば山中に迷い込んだ痕跡や不規則な足取りの断片が必ず残るがそうした痕跡は一切見つかっていない。
唯一残された痕跡は祠の前にあった4人分の足跡と持ち物のみであることを考えると、やはり子供達がその場で上空、または異次元へと消えてしまったのではないかと考えられる。
子供達は《ナニカに導かれるように》祠へと向かい、そこで《ナニカ》を目撃、触れた事により連れていかれたのではないだろうか。

ジジーロンの目的

後年の分析で目撃された竜がジジーロンであった可能性が示唆されているが、その姿は明らかに既知の個体を逸脱している。
もしあれが本当にジジーロンだったとしても、人間との接触に対して《ただ視線を交わす》という反応を選んだことに、このポケモンの本質が垣間見える気がする。
ナニカを見届けに来たのか、ナニカを待っていたが期待に沿わなかったのか、それともナニカを見送っていたのか。
いずれにせよジジーロンは人を襲うつもりでその場にいたわけではないということが伺える。

光の竜とジジーロン

《空に昇っていった光をまとう竜》とその後目撃された《白い巨体のジジーロン》が同一個体だったとするならば、失踪事件に関与したのがジジーロンであると結論付けられる。
しかし、目撃されたジジーロンは空へ飛ぶどころか光ることもなく、這うように森の奥へと去っていったという。
つまり、もしジジーロンと目撃された《光る竜のようなナニカ》が別個体であった場合、ジジーロンは子供達を取り戻そうとしてその場にやってきたという可能性も考えられる。
もしくは既にジジーロンナニカを実行しており、その結果として子供達が戻るはずだったのが目撃したのは村の大人たちだったため失望し森野奥へと帰っていったとも考えられないだろうか。
当時、村は小さく情報も多く残されていないためこれ以上の考察は難儀であるが、ジジーロンが全てに関与していたわけでは無いという可能性が高い。

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