発生日時:1986年11月
発生場所:ガラル地方・リバプトシティ
関与ポケモン:サンダース(1体・トレーナー所有)
関与人物:カーティス・ロウズ(施設オーナー/逮捕)
【解決済】蓄積されたイカヅチ
1986年11月、ガラル地方のリバプトシティ中心部にある多目的イベント施設《クロス・ガレリア》の地下区画で電気系統の異常による爆発と感電事故が発生し、館内にいた30名が救急搬送された。
館内はイベント終了後の片付け作業中で一般客はおらず、被害者はすべて運営・施工関係者だった。
現場にいた複数の作業員が『天井から火花が走り、雷撃があたりを貫いた』と証言しており突発的な高電圧の放出が発端となったことが疑われた。
消防局の初動調査では建物内の老朽化した配線によるスパークと報告されたが、翌週に入ってから館内に設置されていた不自然な蓄電装置の存在が浮上した。
その装置にはポケモンから供給される電気を長時間蓄積・分配するための改造が施されており、通常のインフラ設備とは明らかに構造が異なっていた。
その後、調査が進み、蓄積装置に使用されていた電力源となっていたのは1体のサンダースである事が発覚した。
このサンダースを所有していたのは《クロス・ガレリア》の経営者であり施設運営責任者でもある【カーティス・ロウズ】氏だった。
ロウズ氏は十数年前、地方郊外にあった非公認の地下バトルクラブに関与しており、施設閉鎖時にサンダースを引き取り、以後はサンダースの再訓練と社会復帰を目指した活動を個人で行っていたという。
その延長としてクロス・ガレリアの一角には一般に公開されない実験スペースがあり、そこではサンダースが保有する溢れんばかりのエネルギーを発散させ、攻撃性を抑える試行が2ヶ月程前から行われていた。
また、その過程で蓄積された電力を施設内での電力供給に使われるのは今回で4度目で、過去3回の運用では目立った問題は発生しておらず出力も安定していたとされる。
今回の運用が決定された背景には同日開催されていた大型展示会にともなう照明使用量の急増があり、通常の外部電力では一部区域の供給が間に合わないと判断されたことが大きかったという。
しかし、事故調査委員会の報告によれば当日設置された変換器の一部に急造された改造部品が使われており、それが漏電の引き金となった可能性が高いとされている。
また、蓄電装置とサンダースの間に設けられていた絶縁処理にも不備があり、部屋の一角にはサンダースが一時的にパニックを起こしていた痕跡も確認されている。
被害を受けた30名のうち4名が重度の火傷を負い、うち2名は一時的な意識障害に陥ったが全員命に別状はなかった。
当時施設にいたスタッフによれば事故直後にサンダースが奥の部屋から倒れたスタッフに駆け寄り、重症者を見つけるとロウズ氏を呼ぶように繰り返し叫んでいたという。
事件後、サンダースはガラル地方の保護施設に移送され、ロウズ氏は業務上過失致傷およびポケモン虐待の容疑で逮捕・起訴された。
また、事故の再発防止を目的とした議会報告ではポケモンの身体的特性を直接インフラに応用する試みについて、明確な規制が存在していなかった点が問題視された。
現在ガラル地方ポケモン倫理委員会は電気タイプを含む能力応用に関する法的ガイドラインの整備を進めている。
クロス・ガレリアは事故後即日閉鎖され該当設備の全ては撤去された。

――文・【ジョージ・スミス】(ガラル異常事件調査班)
【管理人の感想】
事故の要因としてサンダースが蓄電のためではなく放たれたエネルギーを扱うという構造自体に無理があったのではないかという印象を受けた。
個体がもともと違法なバトル施設で扱われていた経緯を踏まえると、その膨大なエネルギーを一般施設での再利用という判断そのものに慎重さが欠けていたのではないだろうか。
過去3回の使用では問題がなかったとはいえ、それが十分な安全性の証明になっていたとは言い難く、計画自体があまりに属人的だった点が浮かび上がる。
また、事故当日の対応をめぐっては変換器の急造や絶縁処理の不備など、複数の要素が重なった結果であることが報告から読み取れる。
そしてなによりも、事故発生時にサンダースが誰の命令でもなく自らスタッフのもとへ向かい、助けを呼ぶような行動を取っていたという事実は極めて重要な点ではないだろうか。
サンダースは戦闘に明け暮れていたとはいえ人を想う心は失われておらず、エネルギーが有り余っている事以外では何も問題なく社会復帰できていたと考えられる。
事件を通じて改めて浮き彫りになったのはポケモンの能力をインフラ利用する際の制度的な整備不足である。
当時の法制度がそこまで想定していなかったという背景は理解できるが、だからこそ、施設側が自主的により厳格な運用基準を設ける必要があったのではないかと感じられる。
その後サンダースが無事施設から出て悠々自適に過ごせていることを切に願う。
構事件録
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