発生日時:1896年9月
発生場所:カロス地方・モンセラ村
関与ポケモン:ケンタロス(1体・野生)
【未解決】蒼き雄牛と消えた家畜
カロス地方南東部、山間に広がる小さな農村【モンセラ村】で1896年の初秋、村を揺るがす不可解な事件が発生した。
9月中旬の夜、立て続けに3軒の農家で牛や羊などの家畜が姿を消し、代わりに巨大な蹄跡と共に青白く光る短い体毛が多数残されていたという。
だが不可解なことに足跡は途中で途絶えその先には何も続いておらず、家畜が逃げ出したり誘拐された痕跡もなかった。
被害を受けた農家の住人達は夜中に何の音も聞こえず、朝現場を見るまで異変に気づかなかったと証言している。
牛舎や鳥小屋などに目立った破壊もなく、ただただまるで今までそもそも存在すらしていなかったかのように家畜だけが消えていたことに不気味さを覚えたという。
その後、村では夜間警戒を行うようになり、3日目の深夜、牧草地を見張っていた4人の若者が遠くの丘の上に《巨大な影》を目撃した。
影の方に灯りを当てるとそこには《通常個体の3倍以上》あり、体毛は光を反射して青く輝く1体の《ケンタロス》の姿があったという。
ケンタロスは住民たちに気づいても特に反応を示さず、背を向けてそのままゆっくりと去っていこうとしていた。
しかし、若者の一人が恐怖のあまり持っていたライフルをケンタロスに向けて発砲。
発射音と同時にケンタロスは立ち止まり、ゆっくりと振り返った後雄叫びを上げ、そのまま農家の垣根を破壊しながら若者たち目掛けて突進してきた。
銃を撃った男はその場で角に貫かれた後バラバラに引き裂かれあたり一面に散らばった。
近くにいた他の3人も飛ばされるなどして腕や足に重軽傷を負ったが、こちらはなんとか一命をとりとめた。
以後もその青いケンタロスと思しき姿が昼夜を問わず断続的に目撃された。
基本的に人を襲うことはなく、ただ村の外れや山の斜面を静かに歩いていくだけだったがそのたびにどこかの家で家畜がいなくなっていた。
いずれも牧柵が破られることもなく、獣害のように荒らされるわけでもなく何の痕跡もないままただ忽然と姿を消していた。
この現象に耐えきれなくなった村人たちは少しずつモンセラ村を離れ、近隣の町に住処を移していった。
1900年を迎える頃には村にはわずかな老人と無人となった家屋だけが残されていた。
青いケンタロスの姿もその頃を境に見られなくなったが人が戻ることも増えることもなく、やがてモンセラ村は完全に廃村となった。
数十年後、ハクダン大学所属の教師兼研究者が村の跡地に調査団を送り込んだが、建物は半ば朽ち果て動物の気配すらない静寂に包まれていた。
蹄跡や青い体毛は勿論、ケンタロスの存在を示す物的証拠は全て消えており過去の記録と証言だけが事件の存在を示すのみであることに変わりなかった。
事件から1世紀以上が経過した現在もあのケンタロスが何者だったのかは不明のままである。
一部の研究者の間では『光の加減による錯覚』とする声もあるが『未知のポケモンだった可能性』を強く推す意見もある。
また一説ではある種の鉱物に触れ続けたケンタロスの突然変異体だった可能性や旧時代における遺伝実験によって生まれた個体だったのではという説も語られており、今も好んで研究する者達が後を絶たない。
そのため現在も廃墟となった村を訪れる者はいるが、動物の姿すら見当たらず異様な静けさが漂っており、研究というより一種のパワースポットとして訪れる者のほうが多いという。

――文・【エリオ・バスカール】(カロス地方歴史民俗研究所)
【管理人の考察】
音も無く消えた家畜
家畜たちが消えた夜、誰も物音を聞いていない。
牧柵は破壊されず、家畜が移動したり鳴くこともなく、ただ静かに全てが消えていた。
足跡も途中で途切れていたと言うことからこれは物理的に連れ去られたというより瞬間移動、もしくは別の空間に引き込まれたような印象を受ける。
あの夜、モンセラ村では《ナニカ得体のしれないモノ》がいたのではないだろうか。
青いケンタロスの目的
目撃されたケンタロスは通常個体の3倍という体躯に加え青白く光る体毛を持っていた。
これらは生物としての通常の個体差を超えており、ポケモンの突然変異や光の反射による錯覚とするにしてもあまりにも情報が一貫している。
そしてケンタロスが目撃されるたびに家畜が消えていたが、もし本当にケンタロスが全て行っていたのであれば人前でも構わず現れていたのは《選定のための下見》だったのではないだろうか。
それがどのような目的だったのかは不明だが、その目的に人間は一切含まれていなかったため人を積極的に襲わなかったのではないかと考えられる。
村の終わりと静寂の意味
村が廃墟となった後、調査団が動物の気配すら感じなかったというのは極めて不思議である。
まるで家畜やケンタロスだけでなく、《命そのもの》が静かに封じられてしまったのではないかとさえ思えてくる。
証拠も痕跡もないまま、記録と証言だけが残る、この静けさの中に何が封じられていたのか。
それはもう誰にも確かめることができないのかもしれない。
構事件録
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