発生日時:2024年9月
発生場所:ホウエン地方・カイナシティ郊外
関与ポケモン:グライオン(2体・トレーナー所有)
関与人物:名称不明
【未解決】腐敗の雨と失踪者
2024年の秋以降、カイナシティ郊外に位置する広大な自然保護区の一部にて局地的かつ不規則で不自然な豪雨が繰り返し観測されるようになった。
それは雲ひとつない空から突如として激しい雨が降り出し、それが数時間に及ぶこともあれば夜通し続くことすらあった。
異常な気象がもたらす被害はジワジワと周辺に広がり、やがて保護区内の草木は一様に黒ずんで朽ち果てていき、まるで土地そのものが息絶えていくかのような様相を呈しはじめた。
そうした環境の変化と並行して不可解な失踪が立て続けに報告されるようになった。
最初にいなくなったのは定年後の趣味として《湿地帯の植生観察をしていた初老の男性》。
次に消えたのは日課としてこの地域をランニングしていた《地元大学の男子学生》。
その後も《保護区の維持管理に携わっていた職員》、《宅配業》者など立場も目的も異なる人々が、いずれも《雨の日に姿を消す》という共通点のもと次々と消息を絶った。
市の防災課と警察が合同で現地調査を開始したが、現場は異常なまでに湿度が高く、降り続く雨とぬかるんだ地形のため機材も人員も思うように動けなかった。
加えて、足跡や残留物といった手がかりは全て雨によって洗い流されており、かろうじて残る草木すら異様な腐敗臭を放っていた。
あまりの異様な惨状に調査団の中から『この湿地そのものが人間を飲み込んでいるのではないか』と漏らす者もいたという。
何の手がかりもないまま事件発生からおよそ3週間が経過した9月28日の午後、ついに1つの目撃証言が寄せられる。
目撃者は近隣に暮らす中年女性でその日用事で山際の小道を通った際に遠くの雨の帳の中に《人影らしきもの》を見たという。
その人物は全身を深いフード付きの外套で覆っており性別も年齢も体格すら曖昧だったが、その両脇には通常の三倍ほどある《グライオン》が1体ずつ左右にぴたりと寄り添っていた。
グライオンたちは傘のように翼を広げながらその人物の動きに合わせて静かに並走していたという。
目撃者がその異様な光景に見入っていると、次の瞬間、人物の足が止まり顔を上げてこちらを見たように感じたという。
距離はかなり離れていたにもかかわらず妙な視線の鋭さに凍りついたような感覚に襲われた目撃者は一目散にその場を離れ、後日通報を行った。
通報を受けて即座に警察が現場周辺の再調査を行ったが、地面はぬかるみ、空気は腐臭に満ちており、痕跡らしきものは一切見つからなかった。
この目撃を最後にグライオンとともに現れるという人物の情報は一切途絶えた。
あまりにも目撃情報が少ないことから警察はこれまで行方不明になった者たちは何らかの形であの人物を見てしまい、そのまま連れ去られたとの仮説が囁かれている。
現在も雨域の中心部では植物の腐敗が続いており、風向きによっては街の端まで異臭が漂うこともある。
気象庁の雨雲レーダーでもこの一帯の降雨パターンだけが常に乱れており、何らかの《人工的な干渉》が加えられている可能性が極めて高いとされている。
しかし、具体的な物証がない以上いかなる技術が使われているのか、あるいは本当に人為的なものなのかも含め依然として謎のままである。
グライオンを従えた人物と一連の行方不明事件との直接的な因果関係も今はまだ立証されていない。
警察は現在も調査を継続中だが、雨の中に踏み込んだ調査員の一部が連絡を絶つという事態も発生しており、調査そのものに慎重さを求める声が日増しに強まっている。
何のためにあの人物は雨を降らせ続けているのか。
そして今もなお、あの重たい雲の下に、誰にも知られずグライオンと佇んでいるのだろうか。

――文・【エリク・ドレヴァン】(ホウエン環境災害研究センター)
【管理人の考察】
何故雨は降り続けているのか
通常の気象現象ではあり得ない降り方、局地的すぎる範囲、そして何より雨が引き起こす腐敗と失踪という不可解な結果。
単なる異常気象ではなく意図的な環境汚染、あるいは《雨を通じた選別》が行われている可能性すらある。
つまりこの雨自体が《攻撃》ではなく《ナニカを隠すベール》もしくは《ナニカを探すための探知機能る》なのかもしれない。
それとも《ナニカを封じ込める》か逆に《ナニカを育てている》とも考えられる。
調査員が無事に帰れないため、どのような意図で降っているのかは今も謎に包まれている。
グライオンの存在理由
両脇に従えていた2体の巨大なグライオンはただの護衛なのだろうか。
通常よりも巨大であるという点は突然変異、あるいは何らかの育成操作が加えられた証拠かもしれない。
視界の悪い雨中において音もなく飛翔し、標的を確実に仕留める存在としてのグライオンは極めて理にかなっているのではないだろうか。
グライオンは《謎の人物》を守りながら目撃者を排除し、雨域そのものを監視・維持する役割も果たしていたと考えられる。
何故人が失踪するのか
失踪者の共通点は《雨の日にその場にいた》という一点のみである。
彼らの目的も属性も異なっているため、明確には狙われた理由が見えてこない。
だが逆に言えば《誰でもよかった》、もしくは《そもそも襲うことが目的ではない》とも考えられる。
保護区の腐敗が目的であり、尚且つ《ナニカの養分》を必要としているとするなら《誰でもいいから使いたい》というのも頷ける。
目的が全く異なる、もしくは単純に《正体がバレたくない》、つまり目的を果たすまでは継続したいといういう考えであれば《干渉しなければ見逃す》のかもしれない。
雨はいつ止むのか
植物の腐敗が止まらないこと、そして腐臭が街の端にまで達していることから考えても、この異常気象と腐敗は拡大中である。
既に調査員すらも失踪し始めている以上、次の段階が始まっている可能性が高い。
このまま放置すればカイナシティ全体が雨域に飲まれ、誰も近づけなくなる日は遠くないのかもしれない。
だがもしかしたら目撃された人物はこの《謎の雨》を食い止めようとしていた…そうも考えられないだろうか。
構事件録
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