発生日時:2020年9月11日
発生場所:カロス地方・ブロッサ山系
関与ポケモン:ドータクン(伝承のみ)
【未解決】空から降った道具袋
【ブロッサ山系】はカロス地方北部に連なる原始的な山岳地帯で、古くから未開の区域が多く残されている。
この事件が発覚したのは、2020年の初秋。
標高1900メートル付近の斜面で動画撮影をしていたアウトドア配信者グループが、突然頭上から落下してきた道具袋に驚き、撮影を中断した。
袋はナイロン製で登山者用の市販品と見られたが、表面は濡れており、数箇所に黒い焦げ痕のような跡が確認された。
中身は以下の通り:
-
名前入りのプレート(『Y.O.』のイニシャル)
-
登山用保存食(開封済み)
-
登山記録メモ(記載は2020年9月10日午前まで)
-
血のついた布と手ぬぐい
-
上半分が無くなったモンスターボール3つ
- その他登山用道具等(金属類は全てねじ曲がっていた)
最も不可解だったのは、その日、その時間に該当する登山者の記録が存在していなかったという点である。
管理事務所の入山記録にも、該当する氏名は確認されず、イニシャルY.O.を持つ人物に関する届け出もなかった。
『空に人影はなかった。
鳥もポケモンも見ていない。
なのに《落ちてきた》んだ。
上から、まっすぐに』
配信者の一人はそう証言している。
調査に入ったカロス自然警備隊は、付近の地形を確認したが、袋が落ちてきたとされる地点の上方には絶壁しか存在せず、到底人が立てるような場所ではなかった。
また、袋の外側からはエスパー波動を帯びた高密度の鉄粉が検出されており、その反応波形は古代遺跡で検出される【ドータクン】のものと類似していた。
【ドータクン】は古来より《異界を繋ぐモノ》として各地の伝承に登場するが、ブロッサ山系周辺でも『空から還す山の鐘』、『魂を異界へ導く山の鐘』などの逸話が知られている。
ただし、野生のドータクンは100年以上この山系で確認された例はなく、逸話等があるものの《過去にいた可能性はある》程度の記録しか残っていない。
事件の数日後、配信者グループのSNSアカウントに、《山の鐘が鳴った》という謎のDMが届いた。
送信者は不明で、アカウントは閲覧不可でまるで異世界から唐突に届いたかのようであった。
《山の鐘》は、地域の民話に登場する【ドータクン】の鳴動音と一致する表現だった。
現在、道具袋はカロス地方警察の証拠保管室に保管されているが、所有者の特定には至っていない。
なお、袋の表面の焦げ痕は高温由来ではなく、《強力な磁場にさらされた際に起こる特異な変質反応》と判定されており、これもまた自然発生的なものでは説明がつかないとされている。

――文・【クロハ・リイナ】(カロス地方特派ジャーナリスト)
【管理人の考察】
【袋はどこから落ちてきたのか?】
登山道上に人やポケモンの気配が一切なく、上空に鳥や飛行タイプの姿もなかったという証言は信憑性が高い。
現場の地形から考えても、人為的に投下することはほぼ不可能であり、《上空から自然に落ちてきた》とするには不自然な点が多すぎる。
可能性としては《視認できない程の高空》または《異空間》からの転移…いずれにせよ【ドータクン】による超常的現象が関与したと考えられる。
【登山者“Y.O.”の正体は?】
袋の中身からは、明らかに個人の生活と登山記録がうかがえるが、記録には一切残っていない。
これは本人が記録されていなかったのではなく、《そもそも存在していない》か、または《記録そのものが改竄・削除された》可能性も考えられる。
カロス地方では過去にも《登録されていない遭難者》に関する怪異がいくつか報告されており、その一つに通じる形といえる。
【鉄粉とドータクンの関連は?】
ドータクンは古代に《異界とつながる器》であり《死者や記録を運ぶ器》と信じられていた。
今回の鉄粉の反応波形がドータクンと一致する点は極めて注目すべき。
長きにわたりドータクン自体の姿は確認されていないが、それと同質の磁場が存在していた可能性は極めて高い。
《磁場の歪み=空間転移》というのは、過去の古代遺跡の研究でも何度か示唆されている。
【《山の鐘》というDMの意味は?】
おそらくだが、この事件を監視していた第三者が存在していたのではないだろうか…?
《山の鐘》はこの地域で【ドータクン】の出現や能力の発動を象徴する言葉であり、事件の背景を理解していないと使えない表現だ。
送信者は《現場を見ていた》か、《過去に同様の現象を体験している者》の可能性がある。
もしそうなら、この事件は一度限りの偶然ではなく、《繰り返し起こっている》ある種の儀式的現象かもしれない。
【袋の《持ち主》は本当に生きていたのか?】
食料やメモなどは明らかに現代的な物だが、その出処が記録されていない。
また、布に残された血痕が乾ききっていたことから、出血は事件当日に起きたものではない可能性がある。
それはつまり、《袋だけが時間を越えて移動してきた》という仮説もたてられるのではないだろうか…?
この仮説が正しければ、ドータクンが古代から《死者や記録を運ぶ器》だったという伝承が、作り話ではない可能性が出てくる。
【管理人の感想】
読めば読むほど、この事件は《山の怪異》というより、《時空の怪異》に近い気がする。
誰かが確かに存在していた形跡があるのに、その《誰か》がどこにも存在していない。
登山という行為は、孤立した空間と時間と大自然を体験するものだが、この事件はそれを超えて《異次元の狭間》に足を踏み入れたような印象を受けた。
ドータクンの伝承はどれも曖昧で、ハッキリとした害や敵意を示すものではない。
だけどそれが逆に恐ろしい。
知らない間に何かが、誰かが失われて、残るのはただ誰のものとも知れない袋ひとつ。
……それでも、きっとその袋は、《誰かが存在した痕跡》だったんだと思う。
それが何を意味していたのか、私たちにはもう、確かめる術はないのかもしれないけれど。
構事件録
3 この記事が気に入ったら「いいね!」してね

コメントを残す