発生日時:2022年8月
発生場所:ジョウト地方・キキョウシティ
関与ポケモン:ヒトデマン(複数・トレーナー所有)
【解決済】星の棺
2022年8月、ジョウト地方【キキョウシティ】へ修学旅行で訪れた《イナビ第二中学校》の生徒教員を乗せたバスが現地へ向かう途中で突如消息を絶った。
他の2台のバスがすでにキキョウシティ中心部へ到着し集合場所で最後の1台を待っていたが一向に現れず、連絡しても応答しなかったという。
消息を絶ったバスには担任教員1名と引率補助員及びドライバーを含め計45名が乗っていた。
通報を受けた警察はすぐに捜索を開始したが広範囲にわたる調査にも関わらず道路上は勿論、監視映像、目撃情報など含めてあらゆる痕跡が一切確認されなかった。
車両追跡システムも直前で途切れておりバスはまるで《空気中に溶けるように姿を消していた》という。
事件は未曽有の集団失踪として全国的に報道され、地元では連日民間の捜索団体による捜索も行われたが半年を経ても何一つ手がかりは得られず、次第に捜索するものも減少していった。
事件からおよそ1年半後の《2024年2月25日》、思わぬ形で事態は急展開を迎える。
ジョウト地方を旅していた若いトレーナーがキキョウシティ北東に広がる未開の山岳地帯である《カグツチ嶺》にてポケモン探索中に人工的に偽装された岩肌を発見し、裏側に洞窟の入口を見つけたという。
洞窟の奥へ進むと巨大な白い壁と扉があり、扉を開いた先に広がっていたのは外部から完全に隔絶された最新鋭の地下研究所だった。
中は異様な静けさに包まれており、白い壁に覆われた施設内の中心部には無数の巨大なガラスシリンダーが立ち並んでいた。
その中には人間の頭部に《ヒトデマン》のような体組織と《赤いコア》が融合したような存在が微動だにせず浮かびながら一定のリズムで静かに気泡を吐き続けていたという。
それを目撃したトレーナーが通報しようとした際に遭遇した施設職員との間で小規模な戦闘が発生したがパートナーのポケモン達と共に制圧に成功。
だがその際に組織の幹部と思われる男だけは施設最奥の緊急通路を使って逃走しそのまま行方は知れないままとなった。
後の警察による調査でこの施設では《ヒトデマン》の持つ高度な細胞再生能力を用いた《人間の再構築》をテーマとする非公開研究が進められていたことが判明した。
また、ガラスシリンダーに保存されていた者達も全てが2022年の修学旅行で行方不明となっていた中学生および関係者のものであることが確認され世間は騒然とした。
だがさらなる衝撃を与えたのはその後の処理だった。
事件の報道が拡大する中《2024年3月2日》、《エーテル財団ジョウト支部》が突如『当該施設は我々の手により処理した』と声明を発表。
関係機関への説明も最小限に留まり具体的な手法や経緯は一切非公開とされた。
その後現地に派遣された調査班が確認したのはまるで《空間そのものが抉り取られた》かのように滑らかな断面でぽっかりと空いた異常な痕跡だった。
この異常に対してエーテル財団は『現在開発中の新技術による消滅処理』とのみ説明しそれ以上の問い合わせには一切応じず、被害者家族や市民団体の追及も届くことはなかった。
そしてさらにおよそ1年後の《2025年4月》、《エーテル財団本部》が突如として《次世代再生医療技術》に関する新特許を発表。
内容は限定的だったがそこには【自己再生性を有する細胞群の安定運用】という一文が記されており、ネット上では『事件で用いられたヒトデマンの技術が応用されたのではないか』との憶測が飛び交った。
だがエーテル財団側は過去の事件との関連を一貫して否定している。
現在施設があったとされる場所は今も草一本生えぬまま立入禁止となっている。

――文・【サイモン・ラグレイン】(ジョウト社会記録センター)
【管理人の感想】
45人が忽然と姿を消し、その後発見された《人間とヒトデマンの融合体》という存在はあまりにも惨たらしく、醜悪であると言える。
何より残酷で恐ろしいのがこの状態になってもまだ生きていたという事実である。
また、事件そのものの解明以上に強く印象に残ったのはエーテル財団による《処理》という名目で全てが消去されたことだった。
正体不明の研究所も融合された犠牲者達も全てが消されて何も残らなかったという事に怒りや恐怖よりもむしろ虚しさのような感情が湧いた。
その後に発表された技術特許も否応なくそこに繋がっているという含みを感じさせるがそれを否定し続ける姿勢こそがこの事件の《根の深さ》を象徴しているように思う。
構事件録
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