【解決済】貨物船消失事件

発生日時:1995年6月2日
発生場所:ジョウト地方・アサギ港
関与ポケモン:ラプラス(群れ)


【解決済】貨物船消失事件

1995年6月2日、ジョウト地方の主要な海運拠点である【アサギ港】から出航した中型貨物船《セントカレン号》が出港からおよそ2時間後に突如として通信が途絶え、行方が分からなくなるという事態が発生した。

《セントカレン号》は通常通り貨物を積み、カントー地方へ向けて出航した後、港の南東約38km地点で行った定期連絡を最後に沈黙。
天候は穏やかで航路に危険区域はなく、通信設備や操舵装置も全て最新の検査を通過していたことから、当初は突発的な機械的トラブルか何かしらの海難事故が疑われた。

ジョウト地方沿岸警備隊は即日、捜索活動を開始。
だが、海上及び空中からの探索にも関わらず翌日昼頃まで船の位置は掴めず、事故による沈没の可能性も一時視野に入れられた。
しかし、6月3日正午すぎ、航路から南方に大きく外れた海域にて《セントカレン号》が海面に浮いた状態で発見され、乗員9名も全員無事に救助された。

船体に外傷や火災跡などは一切見られず、操舵システムも正常に作動していたため、なぜ船が航路から逸脱し長時間発見されなかったのかが問題とされた。

 

乗員の証言によれば出航後1時間ほどして突如として《極めて濃い霧》に覆われ、視界が完全に閉ざされたという。
レーダーも干渉を受けていたようで、計器による測位が困難となり、どちらに向かっているのかもわからなくなってしまったとのことだった。

その後の海洋調査により事件当日の同時刻、付近の海域において野生の【ラプラスの群れ】が確認されていたことが明らかとなる。
複数の研究記録によればラプラスはその歌声や集団行動により海上の湿度を一時的に上昇させる現象があるとされ、中には《広範囲に霧を発生させる個体群》が存在するという報告もあった。

また、発見当時《セントカレン号》が漂流していた付近は【ラプラスの群れ】が泳いだルートと一致しており、現地の漁師たちの話でも『その日だけは沖がまるで冬みたいに冷えていた』との証言が残っている。

以上のことから本件はラプラスの集団が偶発的に発生させた霧によって船の航路が狂わされ予定外の海域に迷い込んだものと結論づけられた。

事件後アサギ港ではラプラスの群れが通過する可能性の高い季節に合わせ追加の気象監視レーダーと音響探知機を導入。
また、霧の影響を受けやすいエリアの事前通知を義務づけるなど、港湾・航路の安全対策が強化された。
なお、幸いにも人的被害や物的損壊は一切なく、《セントカレン号》はその後無事に運航を再開している。

――文・【マツセ・トオル】(ジョウト海運記録資料センター)


【管理人の感想】

本件は一見すればただの自然現象と航行トラブルの延長に見えるかもしれない。
だが読み進めるうちに単なる偶然では処理しきれない《静かな異変》がそこにあったように思えてならない。

霧が発生したこと自体はさほど珍しいことではないが、その濃さ、範囲、計器への影響、そして何より《方向感覚すら失わせるほどの密度》というのはラプラスの群れが偶然引き起こしたものだとしても、その作用の規模は想定をはるかに超えている。

さらに興味深いのは船が迷い込んだ海域がまさにラプラスの泳いだルートと一致していたという点だ。
というのも、それが通常のラプラスのルートだとすれば過去にも似たような事件がアサギ港にて報告されていそうなものだが、現状では類似性のある事件は見当たらない。
それであれば《セントカレン号》、もしくはその乗員の誰か個人を狙ってラプラスたちが意図的に何かを導いていたとも考えられないだろうか。

いずれにせよ、原因が明確に解明されたことで事件としては解決を見たものの、それはあくまで《理屈として整理できた》という意味に過ぎない。
自然がもたらす予期せぬ干渉とポケモンたちの存在が重なった時、我々が備えるべきは事故後の対応だけではなく《何が起きてもおかしくない前提》での行動なのだと改めて思い知らされる。

海は今日も静かだがその霧の向こうで何が潜んでいるのか。
私たちはきっとまだその全てを知らない。

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