【未解決】ネジ山灼熱坑道

発生日時:1988年2月14日
発生場所:イッシュ地方・ネジ山 地下第二坑道
関与ポケモン:ロトム(1体・野生)


【未解決】ネジ山灼熱坑道

1988年2月14日午前10時22分、イッシュ地方【ネジ山】の旧採掘坑道内にて、定期保全調査を行っていた調査班が《局地的に摂氏3000度超の異常熱源反応》を感知し、調査中断に追い込まれた。
ネジ山はかつて鉄鉱やポケモン由来鉱石を多く産出した鉱山であり、当該区域の《地下第二坑道支線B2区画》は1960年代に閉鎖されて以来、半ば放棄された状態が続いていた。
​事件当時は環境安全局と鉱物資源局の共同事業により、地下水脈の変化や火気・可燃ガス類の再検出を目的とした再調査が進められていた。

熱源の発生は突発的で、爆発的に上昇し、その後約1分にわたり3000℃以上の温度が継続した。
その際、坑道内に設置されていた温度センサーやガス検出器、記録機器類は全て焼失。
3000℃以上というのも、計器が破損する前、最後に記録した温度であり、実際の温度は計り知れない。

坑道外の簡易研究所にいた技術者4名は以下のように証言している。

『カメラ及び計器に異常が表示された途端、内部でまるで核融合でも発生したかのような温度が検出され、その後画面がブラックアウトしました。
急いで表に出てみると坑道の奥が真っ白に光っていたんです。
周りの草木が一気に燃え上がる熱風が中から吹き荒れていて…すぐにその場を離れるしかありませんでした。
あのまま温度が上昇していた場合、辺り一面消滅していたと思います…』

 

熱源は坑道の遥か奥であったにも関わらず、そのあまりの熱量から簡易研究所まで炎上しはじめたところ、唐突に光が消失。
坑道内の岩盤は真っ赤に燃え上がっていたため本部から耐熱装備が届くまで近づけなかったものの、坑道外の消火活動は円滑に進んだたという。
当初は地下マグマ層の隆起や古い火口の再活動といった地質的要因が疑われたが、地質調査の結果マグマの存在は確認されず、またその特異な発生からもマグマではあり得ないと結論付けられた。

さらに不可解だったのは、熱源反応が発生する前に坑道全体の送電回路に不規則な干渉が確認されたことである。
ライトの点滅、発電装置の出力低下、誘導スパークの発生といった現象が複数の地点で同時に発生していた。

そのため、現場に《電気タイプのポケモン》が侵入した可能性を考えた調査班が坑道外に接地してある防犯カメラの記録映像を確認した結果、同日午前10時15分ごろ、地表施設外周を浮遊する【ロトム】の姿が映っているのが発見された。

その映像によれば、ロトムは施設の送電ケーブルに接近した直後、突如として吸い込まれるように姿を消し、同時にケーブルの一点が白く発光した。
以降ロトムの姿は確認されておらず、これを境に熱源反応が発生したことから何らかの機器に接続したと考えられたが、現場に高熱を発するような機材がなかったため、《ナニカ》との接触による異常が発生したと推定されている。

その後、耐熱装備で坑道奥へ調査員が進入を試みたものの、坑道内は複数箇所で崩落しており、安全な進行は不可能と判断された。
調査は打ち切られ、坑道全体は封鎖された状態となって現在に至る。

 

この事案の発生源とされる地点には、ロトムが侵入した後に何が起きたのか、また坑道奥に存在する《ナニカ》との関連性について未だ決定的な証拠は発見されていない。
確かに、映像は勿論、現場で検出されたエネルギー波形の一部は既知のロトム個体による干渉と一致するが、今回のように爆発的かつ局所的な高熱を発した記録は他に存在しない。
つまり《ロトムが接触したナニカ》がそれ自体に強力な熱エネルギー反応を起こす特性を持っていた、あるいはロトムを通して《外部のエネルギーが坑道内へ流れ込んだ》可能性が示唆されている。

近年になって、一部の研究者の間ではこれを《ウルトラエネルギーの漏洩現象》の一環と捉える声も上がっているが、1988年当時の観測機器では証明する手段も残されておらず、調査の再開も坑道の安全上不可能とされている。

坑道の奥に何があったのか、あの日ロトムが触れたのは何だったのか。
その答えは今もなお、封鎖された岩壁の奥、暗い坑道の向こうに沈んだままである。

――文・【カシワ・ミナト】(イッシュ地質異常記録会)


【管理人の考察】

坑道の奥に存在していた《ナニカ》

この事件で最も異常だったのは、単に高熱が発生したことではなく、《ロトムがナニカと接触して発生した》という一点に尽きる。
ロトムは電気機器を介して出入りし、そこに取り憑くことで干渉を行うポケモンだが、今回記録された摂氏3000度を超える熱量は、過去にロトムが示したどの現象とも一致しない。
つまりロトム単体が原因ではあり得ず、ロトムは《媒体》であり、熱を発した本体は別にあった可能性が高いといえる。

坑道の構造上、B2区画のさらに奥には鉱山時代に開かれた旧設備保管層が存在する。
文書上は《未使用区画》とされていたが、現存する図面には一部だけ《記録抹消済》とある空白が存在しており、当時の管理台帳にもこの区画に関する記録は見当たらない。
ロトムが侵入した送電系統がどこに接続していたか不明なことを考慮すれば《記録ごと削除された地下設備》と接続していた可能性は捨てきれない。

ロトムの動機と行動

記録映像におけるロトムの動きは非常に興味深い。
まるで何かに導かれるようにケーブルに接近し、迷いなく突入している。
これは偶然触れてしまったというより、明確な誘因があったと見る方が自然だ。
つまりロトムはあの時点でもう既に意識がなかった可能性すらある。

熱源反応の異常性とウルトラビースト

摂氏3000度という記録は、機器が消失する直前に観測された値だ。
発生時間も極端に短く、これは一般的な火山活動や機械反応では説明できない現象である。
これに近い現象としては《ウルトラエネルギー》による空間干渉時に観測された高エネルギー反応が一例として挙げられるが、現在に至るまでネジ山周辺では《ウルトラホール》《UB(ウルトラビースト)》の発見報告は一切存在していない。
そのため、関与の証明は現在の観測体系では不可能だが《未知の類似現象または個体が地中に存在していた》可能性は否定できない。

封鎖の意味と調査の限界

現在も坑道は封鎖されており、内部の再調査は安全上の理由から実施されていない。
中心部はドロドロに溶け崩落しているため、わずかな掘削も二次災害に繋がる可能性が高いのが理由だ。

一般的にこれは《調べられない》と解釈できるが、《調べてはいけない》からそのように発表している可能性もないだろうか。
事故直後の熱波は地表設備にまで達しており、わずか数分の異常で半径数十メートルの草木が焼失するほどの威力だった。
もしまだ内部に《ナニカ》が眠っており、それを目覚めさせてしまうとしたら…

その《ナニカ》再び活性化した場合、ネジ山のみならず周辺の都市にまで被害が及ぶ危険すらあり得る。

消えたロトム

熱源とともにロトムも消えたままである。
この事件に関して決定的な証拠は今も何一つ存在していない。
ただ確かなのは、ロトムが《ナニカ》と接続した結果、我々の科学では理解しきれないエネルギーが発生したという事のみだ。

事件からすでに数十年が経過し、当時を知る関係者の多くも引退、あるいは鬼籍に入った。
だが、この事案は今なお《イッシュ鉱山史における最大の未解決異常》として記録の中に静かに居座り続けている。

ロトムが出会った《ナニカ》は誰にも確認されていない。
そしてその《ナニカ》はやはり、未だに《坑道の奥にて眠っている》のではないだろうか。

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