発生日時:2023年11月19日
発生場所:ジョウト地方 コガネシティ
関与ポケモン:エーフィ(単体・野生)
目次
【未解決】エーフィの夢幻誘導事件
2023年11月19日未明、ジョウト地方【コガネシティ】中心部の高層住宅【コガネセントラルタワー】にて、かつて類を見ない精神異常を伴う集団異変が発生した。
この事件では、住民のうち少なくとも23世帯が同一の夢を見たと証言し、10名以上が体調不良、9名が意識障害、6名が現在に至るまで昏睡状態から回復していない。
また、その後の被害者数も数えると優に100人は超える未曾有の事件である。
最初の異変は午前3時30分頃。建物内で一斉に非常用電源へ切り替わる不具合が発生した。
管理会社によれば『外部からの電磁干渉によるシステム異常が数秒間続いた形跡がある』とのことで、同時間帯に防犯カメラには建物屋上付近で《紫色の光》が断続的に明滅したと記録されている。
その直後から、複数の住民が今回の事件である【草原の中でポケモンに導かれる夢】を体験する。
『何もない地平線まで見える草原を、ただ静かに歩いていた。
しばらくすると遠くにジッとこっちを見ているポケモンがいたんだ。
目が合った瞬間、頭の中に直接《おいで》って響いた気がして……
その後はあまり覚えてないけど、気がついたら目が覚めてたんだ。』
これは事件当夜に夢を体験した住民の証言の一つであり、他の証言者も驚くほど一致した内容を語っている。
草原の中心に現れたポケモンは、紫色の体と大きな瞳を持ち、額の赤い玉が発光していたとされる。
この特徴は【エーフィ】と一致するが、事件発生時点では建物周辺での野生個体の確認はされていなかった。
そして、問題は夢にとどまらなかった。
夢を見たもの達は翌朝に重度の頭痛、めまい、視界の揺れ、記憶の混乱などを訴えた。
さらに、中には起床後も意識が混濁し、時間の概念を失うような発言を繰り返す者も続出した。
『こっちが夢で、あっちが現実なのよね、わかってるのよ。
ずっと呼んでる声がする…あぁ…早く目覚めなきゃ…
森の奥まで行かなきゃ…迎えが来る…早く…行かなきゃ…』
こう呟いた女性(26歳)は発言直後に意識を失い、現在も昏睡状態にある。
搬送先の病院によれば、身体機能に異常はないものの《深いノンレム睡眠に近い脳波》が続いており、強制覚醒にも反応しないという。
また、同様に昏睡状態に陥った男性(38歳)は昏睡に入る直前に笑顔で『あぁ…やっと辿り着けた』と呟いたという。
ジョウト地方警察とポケモン調査隊は事件当夜の電磁波異常、精神干渉の可能性、人または組織の関与、さらに野生ポケモンの干渉を想定し調査を開始。
そして2日後の夜、市外れの【36番道路】でポケモン調査隊が一体のエーフィを確認するが、接近を試みた所まるで時間が切り取られたかのように忽然と姿を消した。
現場には超高濃度のサイコエネルギー残留反応が確認されており、これは【コガネセントラルタワー】の屋上で映った光の波長とほぼ一致していたという。
なお、その後の調査で現在も昏睡状態にある住民たちには奇妙な共通点が見つかった。
それは、全員が事件の1週間以内に【屋上の共有エリア】に足を運んでいたという点である。
普段から人の出入りが少ない場所だったが、事件前の監視映像にはいずれも昏睡者が深夜に屋上で佇む姿が映っていた。
そのうち3名は同時刻に別々の方向から屋上に現れ、無言のまま中央のベンチに座り、《同じ空の一点》を見つめ続けていたという。
彼らの行動には共通して《自発性が感じられない》という報告もあり、専門家の間では《既に選別され、誘導されていた可能性》が強く指摘されている。
また、調査の過程で新たに判明したのは夢を体験した住民の中に全く同じ夢を複数回体験していた人物がいたことだ。
その人物は事件の3日前から《同じ草原の夢》を何度も見ていたといい、当初は奇妙な体験談としてSNSに投稿していた。
しかし事件当夜を境に、彼のSNSでは支離滅裂な文と文字化けが出るようになっていった。
『キキウキキキでうのポケモンだもの。
チーズ気にしないメカ花異論ない?
月もっと置くくし?クシない?』
これ以降は文字化けばかりで判読不能であった。
そしてこの記録を最後に彼もまた昏睡状態に入り、現在も意識は戻っていない。
更に恐ろしいのが、被害の範囲はタワー内だけに留まらなかった事である。
事件の約1週間後、近隣の小学校で数多くの教師と児童が突然《ナニカ》に意識を断ち切られたかのように眠りにつくという現象が起きた。
数分後に大半は目を覚ましたものの、そのうち32名が翌朝まで目覚めなかった。
こうした事例を受けてジョウト地方警察は一時的に【コガネセントラルタワー】を封鎖。
さらにタワー最上階から採取した空気サンプルや建材の一部を専門機関に提出したが、現時点では物理的な有害成分は確認されていない。
ただし、特殊な電磁波の干渉痕とサイコエネルギーの滞留反応が継続的に観測されており《ナニカが未だにそこに留まっている可能性》を指摘する研究者もいる。
なお、事件の影響を受けた居住者の一部は自主的にタワーから退去。
現在も空室が続く一方、残留する住民の中には『もう一度あの夢を見たい』と語る者もおり、一部で【覚醒誘導】と呼ばれる怪しいネットフォーラムまで立ち上がっているという。
事件は今なお収束の気配を見せず、昏睡者の病室では今日も静かな眠りが続いている。
彼らの脳波には今もなお《穏やかで安定した反応》が観測されており、それはまるで《どこか別の世界で安らいでいる》ようだとも言われている。
その夢は果たして楽園か、牢獄か。
判断できるのは、目覚めた者だけだ。

――文・【ミナ・サカグチ】(ジョウト新聞社)
【管理人の考察】
なぜ《草原》なのか?
証言の中で繰り返し登場するのが《何もない草原》という夢の風景。
これが現実世界に存在する場所ではなく、完全に精神領域上の《共通空間》である可能性が高い。
問題は、なぜそのようなビジョンが全く異なる個人たちに共通して現れたのかという点。
やはり考えられるのはエーフィがサイコパワーを通じて《一つの集合無意識的な空間》を強制的に構築したという仮説。
これは夢というより、半ば精神的な《隔離領域》だったのではないか。
エーフィは意思を持って誘導していたのか?
事件の鍵を握るのが《夢の中でエーフィと目が合った》という描写。
目が合った瞬間に何かが起きる、という共通性は偶然とは思えない。
また、被害者の一部が選ばれていたような行動を取っていた点も見逃せない。
完全に無作為な作用ではなく、なんらかの選別の意図があった可能性は極めて高い。
《覚醒誘導》は新たな危機を生むのか?
事件後に立ち上がった【覚醒誘導】というフォーラムの存在は大変興味深い。
夢を体験した者たちは恐怖以上に《心地よさ》や《帰属感》を感じていた可能性があり、その体験を再び求めるようになっている。
これは極めて危険な兆候であり、意図的に再接触を試みる動きが広まれば《第二の集団昏睡事件》が発生する可能性すらある。
この現象は一度の事故で終わったわけではなく《今も続いているもの》として警戒するべきだろう。
【管理人の感想】
正直、初めて読んだ時はただの不気味な夢の話かと思っていた。
だが読み進めていくうちに、これがただの夢では済まされないという事がすぐに理解できた。
普通なら悪夢や精神的なストレスで片付けられる話かもしれないが…
やはりこれはもっと根本から違う気がする。
草原の中心に立ってるエーフィの姿を想像すると確かにそれは美しい存在かもしれない。
だが、その後の人たちの反応などを見る限り…やはり恐ろしい存在だったのだろうと感じる。
確かにエスパータイプのポケモンは人の心の奥に踏み込んでくる力を持ってるが…
それでもあまりに大規模で、極端な例であると思う。
個人的に一番引っかかったのは、昏睡してる人の中に《やっと辿り着けた》と言っていた人がいたことだ。
まるで向こうの世界が真実で、現実の方が仮になってしまったかのような…静かな不気味さがある。
私はこんな恐ろしい体験は絶対にしたくないと思う。
だが、《もう一度見たい》と願う人があまりにも多いことを考えると…
……いや、これ以上は辞めよう。
構事件録
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