発生日時:2008年4月
発生場所:シンオウ地方・タカクサ渓谷タウン
関与ポケモン:ピジョット(3体・野生)
【解決済】谷を切り裂く神風
2008年春、シンオウ地方北部に位置する山深い集落タカクサ渓谷タウンで数十軒の家屋が突風によって損壊し住民22名が軽傷を負う騒動が発生した。
当初は突発性の局地的な竜巻による自然災害と見られていたが、後の聞き込み調査で原因は渓谷上空を飛来した野生ピジョットの大規模な群翔による空気圧と羽ばたきによる被害であったことが判明した。
事件が発生したのは4月中旬、村の南端にある休耕田で地元の児童たちが春の草花観察をしていた最中だった。
正午を少し過ぎた頃に北西の空から轟音にも似た音が響き、子供達が顔を上げると黒雲のような塊が山の稜線を越えて飛来するのが見えたという。
それは異様なまでに巨大な3体の《ピジョット》であり、通常では見られない低空を翼を折りたたむようにして急降下していた。
村上空に差しかかると彼らは渓谷の風に乗るように翼を広げ、突然方向を反転させて上昇に転じ、その際に巻き起こった凄まじい突風が民家の屋根やビニールハウス、物干し場の布団ごと空へと巻き上げていった。
この突風で村内の住宅計18棟が部分的に損壊し、年配の住民を中心に22名が転倒などで軽傷を負った。
屋根瓦が宙を舞い、山肌の木々が引きちぎられたように裂ける光景は村の人々にとってまさに《空が振りかざした暴力》であったという。
群れが通過した後に現場へ駆けつけたポケモンレンジャーでさえ『この規模で突風を巻き起こせる個体は極めて稀』と語った。
その場にいた複数の目撃者の証言によればピジョット達は隊列を乱さず、まるで訓練されたかのような美しい動きで飛行していたとされる。
その後、現地に派遣された生態研究班は飛行経路や羽ばたきによる気流のシミュレーションを通じて今回の現象が
『局所的な気圧下降と羽撃による加圧が重なった結果ダウンバーストに酷似する気象変動が引き起こされた』と結論付けた。
また、村ではピジョットのものと思われる羽根が数枚見つかったが、いずれも飛行中に自然に抜けたものであったためピジョット達が意図的に襲撃や威嚇を目的としておらず、またナニカに追われていたわけでもなかったとされた。
この事件をキッカケに村では巨大なピジョットが飛来する可能性を想定した防災訓練が導入され、山のほうに影が見えたら通過し終わるまでは屋外作業を控えるよう注意喚起が行われるようになった。
一方で、あの年以降同じ個体が村上空を再び飛来した記録は残っていない。
村の住民の間では今も春になると【あの神風がまた聞こえるかもしれない】と空を見上げる者が後を絶たないという。
またいつの日か、あの巨大なピジョット達は再び季節の境界を裂くように現れるのかもしれない。

――文・【イシカワ・テルミ】(シンオウ地方山岳異変記録班)
【管理人の感想】
人の意思など一切介在しない、ただ純粋に《ピジョットが通過しただけ》で発生した災害。
一度きりだったからこそ、ちょっとしたイベンドごとのようにも感じて、《また現れないか》と楽しみにしてる人が多々いるかもしれないが、これはれっきとした災害であると思える。
たった3体のピジョットが通過しただけでダウンバーストに似た現象を引き起こしたという事から、いかに巨大でいかに強く、そして速かったのかを想像できる。
もし直接村を襲っていたら屋根を剥ぎ木々を裂いたなんて比じゃないほどの大災害に発展していたのではないだろうか。
もしまた現れた際に村の人々は本当に無事に対処できるのだろうか。
下手に刺激してしまい、想像するのも恐ろしいような事にならないことを切に願う。
構事件録
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