発生日時:2016年1月
発生場所:ガラル地方・クラッグマウンテン
関与ポケモン:ヒトモシ(1体・野生)
【解決済】命奪う灯火
2016年の冬、ガラル地方北部に連なる山の1つ、【クラッグマウンテン】山中でかつてない規模の集団死亡事件が発生した。
被害の舞台となったのは地域観光局主催による《冬季ネイチャーリトリート》と呼ばれるツアーで一般公募により選ばれた40名弱の参加者が山の中腹に位置するコテージ型施設に数日間宿泊するという内容だった。
問題が発覚したのはツアー3日目の昼過ぎ。
《スノーシュートレッキング》が予定されていた日に寝坊してしまったことを訝しんで目を覚ました数名が広間に向かうと異常な光景を目にする事となった。
そこにはテーブルの周囲やソファ、床の上で倒れ込んだまま動かない多数の参加者の姿だった。
はじめは深い眠りについているようにも見えたが揺すっても反応はなく、呼吸も脈もなかったという。
謎の死を遂げた人が大量に同コテージにいることを理解した生存者達はパニックを起こしたものの、そのうち一人が通報を行いヘリによる緊急救助と山岳救助隊の派遣が行われた。
到着した警察および医療関係者による初動調査では被害者たちに外傷や争った形跡は見られず、室内からは毒物やガスの検出も確認されなかった。
検死の結果、全員が衰弱死と見なされたが、何故命を失うほどの衰弱を同時に集団で発生したのかは不明だった。
その後、特に人が多く重なり合うように倒れていた場所にある《石造りの暖炉》の奥を調査しようと試みた際に作業員が突然意識を失った。
それを目撃した他の隊員が機械を使用して隊員を救出しつつ中を確認したところ、そこには1体の《ヒトモシ》が笑顔でこちらを伺っていた。
後の専門家の見解ではこのヒトモシが暖炉の熱源となり、目の前に長時間座っていた人間たちから生命エネルギーを奪い取っていったとされる。
しかし、1体のヒトモシが数十人もの命を奪うほどの力を持つ例は過去になく、事件当初は特殊訓練を受けた《トレーナー所有個体》や《複数体で行われた》可能性も検討された。
ところが、ヒトモシをいくら検査しても所有者がいた形跡は確認されず、周囲をどれほど探索しても他のヒトモシが発見されなかったため単独で山中を移動していた野生種であると断定された。
生き残った参加者たちは偶然にも暖炉から最も遠い個室で寝ていたことで被害を免れたとされる。
彼らは皆、寝坊してしまったのも命を落とすまでではなかったにせよ、他の者達同様にヒトモシにより生命力を奪われていたからと判明。
この事件をキッカケに山岳地帯における野生ポケモンの施設内への侵入対策が各地で強化されることとなり、またヒトモシをはじめとするゴーストタイプの生態に対し改めて警戒を促す警報も発せられた。
現在、当該個体のヒトモシは隔離された特殊環境下で研究対象として保護されており、意図的な悪意や知性の有無を含めて行動の解明が進められているが、未だに当日の行動記録や生理的変異の原因は明らかになっていない。

――文・【アレン・ミルヴァ】(ガラル山岳事故調査委員会)
【管理人の感想】
ヒトモシの能力自体は図鑑でも語られているし、命を吸うという特性も知識としては広まっている。
だがそれはせいぜい《長期間かけて一晩に1人》という規模の話で、複数人でいる際には警戒されるものでもないという。
それが今回のように数十人単位を数時間〜1晩のうちに衰弱死させるというのはもはや想定外の出来事だったのではないだろうか。
生き残った人達が助かったのはヒトモシが基本的に夜に活動するためではないかと考えられる。
つまり、明け方には活動を停止し、生命力を奪うのをやめていたのではないだろうか。
その影響で生命までは奪われなかったものの本来予定していた時刻よりも何時間も多く睡眠が必要になり、尚且つ目が覚めても気だるさに包まれていたのかと思われる。
もしもう少し距離が近かったり、ヒトモシがあと数時間、もしくは数十分多く活動していたらコテージ内で生存者はいなかったのかもしれない。
事件としてはヒトモシの仕業で決着がついたが本当の怖さは別のところにあるのではないかと思う。
それはすなわち《ポケモンは本来人の命を簡単に奪えてしまう》ということを再認識したということだ。
良き隣人、良きパートナーである一方でポケモン達は人間の言語も完全に理解できるほどの知性と圧倒的なチカラを持つ存在であることを忘れてはならない。
構事件録
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