発生日時:1988年11月30日
発生場所:カントー地方・クチバ湾岸工業区
関与ポケモン:エアームド(1体・野生)
【未解決】鋼の速贄
1988年11月30日、カントー地方【クチバ湾岸工業区】の廃工場跡で《異様な状態で絶命したエアームド》の個体が発見された。
発見者は隣接する解体業者の作業員で当日は老朽化した鉄骨構造物の解体準備のため立ち入り検査を行っていた。
異常に気づいたのは休憩から戻った午後2時過ぎ。
構内天井付近、鉄骨の隙間に《エアームドの身体が逆さに突き刺さる》ように固定されていたという。
通報を受けたクチバ署の捜査記録によれば、エアームドの全身は《無数の小さな切り傷 》に覆われ、その鋼鉄の羽の一部は捩じ切られており明らかに《ナニカ》が殺害した姿だったという。
鋼鉄に覆われた身体は部分的に腐食し、遺体の下部にあたる床面には《直径3メートルに渡って広がる円》が描かれていた。
その円は《血痕と鉄粉》が混じったもので描かれており、エアームドのDNAと一致していることが鑑定で判明している。
なお、その後ポケモン研究所に行われた検死結果により《体内に空洞化した部分》がいくつもあったのも確認されている。
さらに奇妙なのは、現場にあった足場の鉄板上に《少なくとも4人分の足跡》が残されていたことだった。
その足跡は最新の油膜が浮いた部分の上に明確に残っており、捜査員によって即座に記録・解析がされたが持ち主の特定には至っていない。
また、その後の事情聴取において当日作業員以外の者が立ち入るのを確認した者は誰一人いなかった。
加えて不可解な足跡以外には外部侵入の痕跡もなかったという。
警察は当初何者かによる異常な犯行か儀式的行動を疑ったが動機や方法について決定打となる要素は得られず捜査は膠着状態に入った。
現場付近では過去にも《鉄板にめり込んで絶命していたコイル》の報告があり、地域一帯に《金属製ポケモンだけを狙った何らかの異常現象》が潜んでいる可能性が取り沙汰された。
数カ月後、事件現場である廃工場は完全に解体された為、現場検証等は不可能となっている。
また、エアームドの遺体とその周辺の金属片は一部標本用に回収されたが現在は何故か所在不明となっている。
輸送記録もなく、担当部署からも《保管先不明》との報告がなされており、誰がいつ持ち去ったのか、何のために消えたのかさえ今ではわからない。
現在に至るまで本件に関して逮捕者は出ておらずエアームドの死因も諸説入り乱れたまま謎に包まれている。

――文・【イチカワ・ナツオ】(カントー事件資料室)
【管理人の考察】
展示される遺体
エアームドの鋼鉄の身体を貫き、腐食させ、内部を空洞にした《ナニカ》とは一体なんだったのか。
【どうやって殺害されたのか】も気になるところではあるがそれ以上になぜこの場所で、このような姿で、このタイミングで晒されたのかも謎だ。
廃工場の天井に逆さに突き刺されたその死体は偶然ではありえず、まるで誰かに見せるために【展示された】かのような印象を受ける。
過去にも似たような事件があることからこれらは《見せるために殺された》と考えるほうが自然なのかもしれない。
血の円が示す意志
鉄粉と血液で描かれた床に残された《円》は偶然発生したとは到底思えず、確かな《意志》を感じる。
問題はその意志がエアームド自身のものなのか、それとも《加害者》のものだったのかである。
後者であればこれは単なる殺害ではなく、なにかしらの《儀式の工程》だったのではないだろうか。
生贄、召喚、封印、あるいは別種の概念すら関係している可能性がある。
さらに気がかりなのはエアームドの体内が空洞化していたという点だ。
まるで消えた中身が一番の目的だったようにも見える。
謎の足跡
関係者全員が《誰も入っていない》と口を揃え、その後の調査でも持ち主の判明していない《4人分の足跡》。
この足跡の持ち主はいったいどこにいるのだろうか。
4人分であるとされているが、本当に4人だったのだろうか…
もしかしたらそもそも人間のものではなく《足跡を模したナニカ》という可能性はないだろうか。
その《ナニカ》はこの死体を《見に来た》のか、それとも《実行犯》だったのだろうか。
消えた遺体
最も奇妙で不可解なのは回収された遺体と周辺の金属片が《行方不明》になっている点である。
研究所で保管されていたものがなんの記録もなく忽然と消えるのは通常はありえないと言える。
つまり何らかの勢力、もしくは個人がこの事件をこれ以上調べられては困ると考えたのではないだろうか。
研究機関か、政府か、それともこの世界に属していない《ナニカ》か、それはわからないが少なくとも相当な権力、もしくは特殊な能力があると言える。
構事件録
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