発生日時:2021年11月12日
発生場所:シンオウ地方・トバリシティの劇場
関与ポケモン:ブリムオン(1体・トレーナー所有)
関与人物:エリス・リヴィエール(元バレリーナ/逃亡中)
【未解決】夢見る少女の舞踏会
2021年11月12日、トバリシティの劇場で開かれたバレエ公演の最中に発生した異様な光景が観客たちを凍りつかせた。
その日はいつもどおり観客席は満席で、華やかな舞台ではバレリーナたちが優雅に踊りを披露していた。
だが、一つの演目が終わった瞬間、舞台上のバレリーナたちが《全員一斉に倒れ込んだ》のだ。
会場がざわつく中バレリーナたちは《異様な動き》で立ち上がった。
それはまるで《人形が糸で操られているかのようなぎこちなさ》であり、目は虚ろで焦点が合っていなかった。
異様な光景が広がる中、突如舞台の中心にスポットライトが当てられ、綺羅びやかな音楽が流れ始めた。
スポットライトの下に現れたのは《満面の笑みを浮かべた一人の女》だった。
彼女は白いドレスをまとい艶やかに踊り始めると回りのバレリーナ達もつられるように共に踊り始めた。
その体はよくみると中心の女を含め皆少し宙を浮いており、全員《ナニカに操られている》のが伺えた。
ただ、一点異なるのは皆目が虚ろで意識がない中、中心の女だけは爛々と目を輝かせて《操ってもらっている》ようであった。
観客たちは恐怖を感じていたものの誰一人席を立つことも通報することも出来なかった。
体が一切言うことを聞かず、視線を逸らすこともできずただ踊りを見続けるしかなかった。
そしてこの地獄のような状況は数十分に渡り続いたという。
中心の女の名は【エリス・リヴィエール(21歳)】。
かつてバレリーナを夢見ていた彼女は貧困に苦しむ中で昼夜問わず働き続けていた過去を持つ。
舞台に立つためにバイトを掛け持ちし、空いた時間でレッスンを受け続けたが無理がたたり身体を壊し、バレリーナとしての道を絶たれたのが2年前のこと。
その後彼女は劇場から姿を消したが、消える直前《精神的に不安定な様子》が見られていたという。
そして事件当夜、エリスは《一夜限りの舞台》を相棒の《ブリムオン》のサイコパワーを駆使して無理やり上演したのだった。
意識を失ったバレリーナたちは勿論、体をマトモに動かせなくなったエリスもその力で操られるように踊り続けたという。
異様な舞台が終わると同時にエリスの姿は忽然と消え、ブリムオンも共に行方をくらませた。
その後、意識を取り戻したバレリーナたちはその間の記憶がなく、体中に《複数の赤い痣》が残されており数日に渡り痛んだという。
事件後の調査で劇場の控室にはエリスが持ち込んだであろう楽譜が散乱しているのが発見された。
その楽譜には【夢見る少女の舞踏会】とタイトルが書かれており、楽譜の隅には彼女の想いを綴ったメモなどが記載されていた。
数年経過した今もエリス・リヴィエールは行方不明のままであり、彼女のブリムオンも見つかっていない。
劇場の観客席の一部には《あの日の光景が今も見える》と訴える者もおり、一部の精神科医によると《強烈なサイコパワーによる精神干渉》の後遺症が残っている可能性が指摘されている。
今でも彼女の舞台はどこかで続いているのだろうか。
夢見る少女の叶わなかった夢は今も人々の心に刻まれている。

――文・【フカザワ・アリサ】(シンオウ怪奇事件調査班)
【管理人の考察】
狂気の舞踏会
体を壊し夢が絶たれた彼女の心に残ったのは《狂気じみた執着》だった。
満面の笑みを浮かべながらブリムオンに操られ踊るのは本当に彼女が望んだ姿だったのだろうか。
あの瞬間、彼女は《夢を叶えたバレリーナ》だったのか、それとも《操られる哀れな人形》だっただろうか。
ブリムオンとの絆
ブリムオンは感情を読み取る事に長けており、人を含むあらゆる生物を遠ざける傾向にある。
そんなブリムオンに願いを叶えてもらったという事を考えると、二人には強い絆が結ばれていたと思われる。
事件後行方不明となった二人が今もどこか、人里離れた場所で踊り続けているのかもしれない。
終わらない舞踏会
一部の観客は未だにあの夜の舞踏会が《見える》と語っている。
それはつまりエリスとブリムオンは人々の精神を檻の中に閉じ込め《永遠に続く舞台》を見せているということである。
華やかでありながらも狂気に満ちた舞台の幕は未だ下りてはいない。
構事件録
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