発生日時:2007年6月
発生場所:イッシュ地方・カストリアシティ
関与ポケモン:ギギギアル(1体・トレーナー所有)
関与人物:アルフレッド・クライン(マンション管理人/故人)
【解決済】閉ざされたギア
2007年6月イッシュ地方《カストリアシティ》のとあるマンションで異臭がすると複数の住民から通報が相次ぎ警察が現場へ訪れると臭気の発生源が管理人室であることがすぐに判明したため呼びかけるも反応はなく、カギ職人を呼び解錠作業を行って中へ踏み入る事となった。
室内は整然としており、特に違和感のある痕跡はなかったものの、異臭の発生源である奥の部屋を調べていると本棚の裏に金属製の扉が壁に埋め込まれているのが見つかった。
表面には太いボルトや補強材が固定されており通常の建具とは異なる重厚な構造で工具なしに動かせるものではなかったため、警察は解体用の器具を持ち込み数時間にわたる作業の末に扉を外すことに成功。
開いた瞬間に強烈な死臭が押し寄せ関係者は防護服を身にまといながら暗闇に包まれた地下へと続く階段を慎重に進んでいった。
階段を下りきった先の床一面には大小の歯車や崩れた鋼鉄片が無秩序に折り重なり、最奥には巨大な謎の装置があり、その周囲には破壊された装置の残骸が散乱していた。
また、金属の山に混じって複数の遺体が横たわっておりその中にはマンションの管理人である【アルフレッド・クライン(42)】の姿もあった。
さらに巨大装置の天井付近中央部分の機構には動力源として組み込まれていた《ギギギアル》が固定されておりクライン達同様に既に死亡していたという。
その後現場に散乱していた資料を回収して分析したところクラインと数名の研究者はマンション全体と近隣の建造物に内蔵された設備を一括制御する装置を完成させる計画を進めていたことが判明した。
装置はほぼ完成しており試験運転の段階に入っていたが組み込まれていたギギギアルが突如苦しみだし、異常な回転を始めた直後に高出力の電流を放出しその後謎の変死を遂げた。
するとその影響でシステムは制御不能に陥り地下空間の電力と電波が一斉に遮断された影響で通信機器が使用できずオートロック扉は開かなくなり内部にいた全員が暗闇の中閉じ込められる事となってしまった。
記録にはその後の経緯が手記として克明に記されており、わずかに備蓄された食料と水は日ごとに尽き人々は次第に衰弱していった。
助けを求める術もなく時間だけが過ぎていきやがて仲間が一人また一人と息絶えていく様子を残された者が震える筆致で書き留めていた。
最期の頁には犠牲となったギギギアルへの感謝と深い謝罪が綴られ、自分たちがどこで誤ったのかその答えだけでも知りたいという願いで締めくくられていた。
調査当局は資料と残骸をもとに検証を進めたが設計の欠陥か負荷の過大かあるいは予期せぬ干渉か複数の仮説が立てられたが決定的な証拠はなく、ギギギアルが異常を起こした直接的な原因は不明のままとなった。
事件後イッシュ地方の議会は法改正を急ぎポケモンを機械の一部として使用する研究には国家資格を義務づけ、無資格で行えば逮捕と同時にトレーナーライセンスも剥奪されることとなった。
自由だった研究の領域は大きく制限されたがこの悲劇を二度と繰り返さないための規制として社会はこの法改正を難なく受け入れる事となった。

――文・【マイケル・ウィートリー】(イッシュ災害記録調査会)
【管理人の感想】
マンションの奥に隠された金属扉、その先に広がる地下施設という異様さだけでも強烈だが、そこで逃げ場を完全に奪われた人間達が衰弱していくという死に様はあまりに壮絶である。
手記に綴られた言葉の重さが強く心に響き、彼らがただ死を待つだけでなく最期まで何かを伝えようとした事実が何より痛ましい。
未解明のまま残された点にも強い引っかかりを覚える。
ギギギアルがなぜ暴走し、そのまま死亡してしまったのか、装置に組み込まれる過程で何が影響したのか。
設計の欠陥や負荷の問題では説明しきれない部分があるように思え、あの時地下空間で何が起きたのかは完全には掴めないままとなっている。
この事件をキッカケにポケモンを研究に利用する際の規制が強化されたことは社会に大きな転換点を与えたのではないだろうか。
研究の自由を制限することは通常あまり歓迎されないが、この惨劇を前にしては誰も反対する気もおきなかったのかもしれない。
利便性や効率の追求が悪とは言わないが、時にそれがどれほど危険な結末を招き得るかを示す出来事であり科学技術と倫理の境界を考えさせられる。
構事件録
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