【未解決】真夜中の水たまり

発生日時:2021年8月3日
発生場所:カロス地方・シャラシティ旧市街地
関与ポケモン:不明(ヌメラまたはメタモン説あり)


【未解決】真夜中の水たまり

カロス地方の歴史ある街【シャラシティ】。
その旧市街地の一角にある、今は使われなくなった裏通りで一人の学生が《地面に沈むように》姿を消した。
不自然な水たまりと共に残されたのは、濡れたバックパックとわずかなぬめり跡だけであった。

失踪したのはシャラ高等学園に通う男子学生・ルネくん(仮名・17歳)。
当日は夏休み中で夜遅くまで友人とゲームセンターに滞在。
帰り道に友人とメッセージで会話していたが、午前2時27分を最後に連絡が途絶えてしまった。
当初友人は違和感を感じたものの誰かと通話をはじめたか、ゲームでもしてるのかもしれないと思いそのまま眠りについたという。
しかし翌朝、彼の自宅へ続く道の途中で異様な状況下で彼のバッグと上着が見つかったため、通りがかった住民によりすぐに通報された。

現場に残されていた水たまりは、直径約2メートル。
周囲は乾燥しており、雨の痕跡も水道の漏れもなかったことから《自然にできたものではない》と判断されている。
また水たまりの中心部では深さ約15センチに達する異常な沈み痕があり、そこに足跡のようなものが沈み込んでいたことが記録されていた。

事件の不可解さをさらに深めたのは現場周辺で検出された【粘質物】だった。
それはわずかに紫がかった透明なゲル状の物質で、しばらくすると乾燥と共に蒸発してしまったが、採取されたごく微量のサンプルから《生体たんぱくに極めて近い構造》が確認された。
この粘質物は既知のポケモン由来物質と一致せず、だが【ヌメラ】【メタモン】などの柔体ポケモンに似た性質があったという。

一部の研究者はこの粘質物が《ポケモンの体液》または《分泌膜》の一部であり、かつその存在が姿を消す能力を保有している可能性を指摘している。
しかし、それが単体のポケモンなのか、それとも《複数の存在が融合した》未知のポケモンだったのか、未だ判断はついていない。

周辺住民の証言によれば、事件前の数日間旧市街地で以下のような奇妙な現象が確認されていた。

  • 『夜中に玄関の前が濡れていた』

  • 『ドアの前に水たまりができていたが、朝には消えていた』

  • 『誰もいないはずなのに、濡れた足音のような音がしていた』

謎の水たまりの側に住んでいる住民は失踪当日の午前2時30分頃に《何かが水に沈むような音》と、その直後に《くぐもった笑い声》が聞こえたという。
この音声は録音されておらず、再現も難しいとされているが、住民は以下のように証言していた。

『人の声じゃない、かといってポケモンらしくもない…
でも機械音声でもなく、明らかに生物の声としか感じられなかった。
平地なのにまるで深い井戸の底から響いたような笑い声で、本当に不気味だった』

また、ルネくんのスマホの友人とのメッセージアプリ上には、事件直前に撮影された写真が1枚残されていた。
内容はピンボケで、何が写っているのかハッキリしないが、中央には小さな波紋が広がる水面が映っており、その背後には《ナニカ黒くて丸いもの》が写り込んでいたという。
写真を添えられたメッセージは途中まで入力されており、友人に《今目の前にあるナニカ》を共有しようとしていたようだった。

その後の調査でも画像の解析は進んでおらず、写り込んでいるものの正体は特定されていない。

事件から3年以上が経過した現在も、ルネくんの行方は分かっていない。
そして今も時折、シャラシティの旧市街地では《雨もない夜に路地が濡れる》という報告が続いている。

ジム戦に挑みに来た一部ポケモントレーナーはこう語った。

『あの通りを夜に歩くと、なんとなく足元がぬるぬるする。
それとたまに…《下に引っ張られる感覚》があるんです。
ほんの一瞬ですけど、沈み込むような感じが…』

それは気のせいなのか、それとも今もナニカが静かに底から見上げているのか。

――文・【マドカ・レイ】(カロス地方特派ジャーナリスト)


【管理人の考察】

【水たまりの正体は《体内空間》ではないか?】

ルネくんが沈み込んだという《水たまり》はただの液体ではなく内部に引き込む構造を持っていたと考えられる。
ナニカの体内に続く《口や吸着器》のようなものであったのではないだろうか。
目撃情報はないものの、沈む音でが聞こえたということからも物理的に取り込まれたという線が濃厚だ。

【粘質物の蒸発は《変質》の兆候か】

蒸発したというゲル状の物質は、単なるヌメラの体液やメタモンの分泌物とは思えない。
空気中で分解・消失してしまうという性質は既知のポケモンには見られないためだ。
これは、ルネくんの失踪とともに何かが痕跡を処理したとも考えられないだろうか。
欠片であっても、そこには確かな意思があったのかもしれない。

【写真に映る《黒くて丸いナニカ》の正体】

ピンボケで写された波紋と、その背後にいたナニカ。
果たしてそれは本当にヌメラやメタモンだったのだろうか。
シャラシティでは現在に至るまでどちらのポケモンも野生下では確認できていない。
新種のポケモンなのか、それとも別の誰か…もしくはナニカによるものなのか。

【笑い声の存在と《ポケモンらしくない》という証言】

くぐもった笑い声が、住民の記憶に異様な印象を残した点も無視できない。
《生物なのに既存の生き物と異なるナニカ》というその印象は、未知の個体、あるいは《模倣系の存在》を示唆していると考えられる。
模倣といえばやはりメタモンが頭に浮かぶが…別種の存在の可能性が否定できない。

【水たまりは《境界》だった可能性】

ルネくんが消えた後も、旧通りでは《地面が濡れる》という現象が続いている。
これは、事件が一度きりの偶然ではなく、今も続いている現象であることを意味する。
もしかしたらこれは口やナニカの体内などではないのかもしれない。
水たまりという形で、一時的にドコカへと繋がる境界が形成されているのではなかろうか。


【管理人の感想】

この事件の記録を読んでいて、背筋がスウッと冷たくなるような感覚に襲われた。

日常の中の、何の変哲もない通り。
雨も降らず、誰もいない静かな夜道。
その中にぽつんとできた《水たまり》がまさか《別の場所へ通じる口》だったなんて、誰が思うだろうか。

ルネくんが消えたのは何かに引きずられたのではなく、自ら足を踏み入れてしまったのだと思う。
彼はきっとその瞬間まで、自分が触れたモノがナニであったかもわからないまま飲み込まれてしまったはずだ。

そして今もその境界はほんの少しだけ開いているのかもしれない。
誰かの足元に、音もなく開かれた《ぬめるような水たまり》という形で。

それが次に誰のもとに現れるかは、誰にも分からない。

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