発生日時:1992年1月
発生場所:シンオウ地方・シラヌイ海沖
関与ポケモン:ナマズン(1体・野生)
【解決済】沈黙のクルーズ
1992年1月、シンオウ地方東部のシラヌイ海を航行していた大型豪華客船《グロリア・エテルナ号》が突如沈没し乗客・乗員合わせて1,782名が死亡、行方不明者を含めた犠牲者数は2,000名を超えるというシンオウ地方史上最悪の海難事故が発生した。
《グロリア・エテルナ号》は全長350メートル、定員2,500名超を誇る超大型クルーズ船で当時は観光客は勿論、海外の著名人や政財界の要人、企業の社員旅行客まで多岐にわたる人々が乗船しており乗客総数2,100名余りほどいたという。
事故当日の海は静かで航路にも危険箇所は一切確認されておらず誰もが穏やかな旅路を疑わなかった。
しかし午前3時21分、深夜の静寂を切り裂くような轟音とともに船体中央部が大きく浮き上がるように揺れた。
その後さらなる大きな衝撃とともに船は中心から裂けるように損壊し、短時間で深刻な浸水に見舞われわずか37分後には完全に凍える冬の海に没した。
深夜に発生したこの急激な沈没によって救命ボートの数も足りず、ほとんどの乗客は逃げ場を失った。
甲板ではパニックが広がり次々に海へ投げ出された人々は低体温症や溺死によって命を落とした。
後日、救助活動が行われたが遺体を含めて回収・救出されたのはわずか168名で残りの人は遺体すら発見できず、この惨状は社会に大きな衝撃を与えた。
その後、事故原因を究明するため大規模な海洋調査が始まり、事故海域の海底には巨大な擦過痕が残され、さらに局所的な地殻変動の痕跡が発見された。
これらの状況証拠を総合し海洋生態調査団は《巨大な野生ポケモンによる破壊行動の可能性が極めて高い》と結論づけた。
複数の生存者が証言した内容と照合して《超巨大なナマズン》が関与していた事が判明した。
しかし、今回確認された個体は痕跡などから《体長およそ200メートル超》という規格外の巨体さであり、これまでの学術記録とはまったく異なる存在だった。
さらに衝撃を呼んだのは数ヶ月後に《違法なポケモン由来製品の密輸》が行われていた事が判明。
グロリア・エテルナ号の一部貨物には《古代のナマズンの鱗》を含む違法製品が隠されており、これらは全て国際条約によって厳しく禁じられているものだったという。
その後の研究では密輸品の存在がこの巨大個体を刺激・誘引した原因であった可能性が高いとする見解が複数出されている。
しかし、密輸品の積載は完全な違法行為であったがそもそも誰が計画し実行したのかなど、その背後関係は現在も闇の中にあり、事件は本質的な真相を迎えぬまま幕を下ろした。
事故から1年後、再び海底探査が行われたが巨大なナマズンの姿は一切確認されず、不思議なことに沈没した船の残骸さえも消失していた。
海底には深く抉られた巨大な空洞だけが残され、その不自然さは現在も科学者たちを悩ませている。
以降、シラヌイ海周辺は立入禁止区域とされ海洋調査も厳重に制限された。
この事件を契機にシンオウ政府はポケモンに関連する違法取引への罰則を大幅に強化。
海洋における人間とポケモンの共生の在り方を見つめ直す動きが広がり、教育や法整備も進められた。
それでもなお、巨大ナマズンの実在も謎のまま人々の記憶に深い爪痕を残している。

――文・【レイナ・キサラギ】(シンオウ危機管理社会研究センター)
【管理人の感想】
巨大なナマズンという存在は公式の記録や生態からすれば明らかに異常で本当にそんな生物が実在するのかと疑いたくなる。
だが、擦過痕や生存者たちの証言、そして密輸品の存在や実際に2,000人以上の命が失われたという事実が《ナニカがいた》という事だけは明確に証明している。
さらに不思議なのがわずか一年で船の痕跡ごと全てが抉られるように消滅してしまっていたことである。
300メートルを超える人工物が跡形もなく消えるのは通常の生物では考えられない現象だ。
これがもし全てナマズンのチカラによるものだとしたら、その巨体さだけではなく能力も既知のものとは大きく異なるように思える。
また、ポケモン由来の違法取引が今回の事件の引き金になったかもしれないというのは現代社会への鋭い警鐘のように思える。
人間の欲望や愚かさがこうして取り返しのつかない悲劇を呼び寄せたとするならこれはもう《自然災害》ではなく《人災》だったと言えるのではないだろうか。
今もシラヌイ海は立ち入りが禁じられ事件は語られることすら減ってしまったが、こうした悲劇を風化させず同じ過ちを繰り返さないために語り続けることこそ大切だと思う。
それが海に沈んだ2,000人の命に対するせめてもの弔いになるのではないだろうか。
構事件録
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