【解決済】ALO-FAIR偽造販売事件

発生日時:2022年11月5日
発生場所:アローラ地方・ハウオリシティ ショッピングモール内
関与ポケモン:ペロッパフ(1体・トレーナー所有)
関与人物:ダリオ・ヴァルディ(菓子職人)


【解決済】ALO-FAIR偽造販売事件

2022年11月5日、アローラ地方【ハウオリシティ】の大型ショッピングモール内にて、観光客向けに出店された新作スイーツが《虚偽表示販売していた》として摘発を受けた。
本事件では、販売者が実際には使用していない高級食材やポケモン由来成分を使用していると謳い、高額で商品を販売していた事が明らかとなっている。

 

中心となったのは、同モール1階の観光特設エリアに臨時出店していた大手スイーツブランド【ALO-FAIR(アロフェア)】
事件当日、とある《ポケモンスイーツマニアのインフルエンサー》が購入した新作スイーツを『ペロッパフの成分が使われていないんじゃないのか』とSNSに投稿したことを発端に、問題が明るみに出た。

アロフェアは商品ラベルやパンフレット、店頭の電子ディスプレイにて【本物のペロッパフが日々香りづけした天然スイーツ】と表示していたが、後の調査により《香りづけ含む全工程に一切ペロッパフが関与していなかった》ことが発覚した。
さらに、販売責任者の証言により、露店にいたペロッパフは《本物らしさ》を演出するために常駐させられていただけであった事も判明。

調査によれば、【ALO-FAIR(アロフェア)】は過去にも複数の観光地イベントに出店しており、同様の表示によって《ポケモン由来の天然スイーツ》として他地域でも販売を行っていた。
商品の原材料自体は一般的な市販品で構成されており、香りづけには独自開発された香料が使われていたことも報告書に記されている。

 

しかし、【ALO-FAIR(アロフェア)】が当初から虚偽を働いていたわけではない。

ブランドの立ち上げは約3年前、アラベスクタウン出身の菓子職人であり現オーナーの【ダリオ・ヴァルディ】氏が、1体のペロッパフとの出会いをきっかけに始めた小さなキッチンからだった。

ペロッパフは元々ヴァルディ氏が親から譲り受けた個体で、通常個体より嗅覚と味覚の鋭さに長けており、特に甘味に対しては繊細な反応を示すことで知られていた。
ヴァルディ氏は試作したスイーツの香りやバランスをこのペロッパフの反応をもとに調整していた際に、ペロッパフが出した香気を利用した加工技術を開発。
これにより、人工香料や添加物では再現できない《まるで夢を味わっているような香り》を作り出すことに成功した。

最初は自宅に増設した小さな店で販売されていた。
しばらくすると地元のマルシェやバザールで売られるようになり、味も見た目も手作り感にあふれ、何より《ペロッパフが調香師を務めている》という唯一無二のストーリーが多くの人の心をつかんだ。
その後【ALO-FAIR(アロフェア)】はその評判とともに急成長を遂げ、国内で店舗数を増やし、観光シーズンのアローラにて臨時出店を行うほどになっていた。
今回のイベントが成功した暁には、アローラ地方に新店舗オープンも考えられていたという。

 

だが、店舗拡大に伴いペロッパフへの負担も急激に増加していったという。
記者会見でのヴァルディ氏は以下のように述べた。

『最初は1日3品作るだけでも二人して大はしゃぎしていた。
でも10品、20品が当たり前になり、それは100品、200品と際限なく増加していった。
他のペロッパフでも試してみたが同様のものは作れなかったので、ずっと相棒一匹に全て任せるしかなかった。

数が増えてもあの子は笑顔で楽しそうに対応してくれてたが、ある日、既に限界だったことに気がついた。
徐々に香りを出せる時間が短くなり、時折ふらついたり、スイーツの前で眠ってしまうことが増えた。
何度も辞めようと思ったけど、私のためを思ってか、あの子は一度も嫌がる事無く、起き上がるとまた笑顔で手伝いを続けてくれた。

その姿が逆に、【これ以上はもう限界だ】と思ってしまった。

それからは《ペロッパフの負担を減らすこと》を第一に考え、既存のレシピに近づける形で《香料を使った補助》を開始しました。
最初は香りのベースだけ、次に風味の余韻、その次はトップノート…
という風に、徐々に《ペロッパフなしでも再現できる工程》が増えていき、これならもうペロッパフに負担をかけないで済むと喜びました。

実際、結果的にペロッパフの負担は減りながらもお客さんは《変わらぬ味と夢心地の香り》と喜んでくれた。
それが自分自身の行っている事がどれほど悪辣であるかの判断を鈍らせたんだと思います。』

 

やがて販売ラインが完全に量産型へと移行し、ペロッパフは工房の奥で過ごす時間が増えた。
最後のひと手間以外の製造工程から外れたペロッパフはそれでも毎朝ヴァルディ氏の横に座り、自分の出番をじっと待っていたらしい。

だが、2022年秋、味の再現度が限界まで高まったのを境に、【ALO-FAIR(アロフェア)】は公式にペロッパフ使用を掲げながら、完全にその姿を製造現場から外した。
そして同時に、誤解を招く広告やパッケージを意図的に強化し続けた。

 

事件発覚のキッカケとなったポケモンスイーツマニアは世界的にも知られるスイーツ系ポケモンをこよなく愛する方で、【ALO-FAIR(アロフェア)】本店は勿論、数多くのポケモン由来のスイーツ店を訪れていた。
今回購入したスイーツも新作以外は全て以前本店で食べたことがあり、自宅で開封した際《人工的に再現されたポケモンの香り》がして、【ALO-FAIR(アロフェア)】を騙った出店だったのではないかという思いから投稿したとのことだった。
彼女のSNSは1億2000万人以上のフォロワーがおり、その味覚や嗅覚が異常なまでに優れている事も周知の事実だった為、瞬く間に拡散され、複数の食品専門家が成分調査に乗り出し表示との不一致が明らかとなった。

後の警察の調査により【ALO-FAIR(アロフェア)】のラベル・広告・販売員の口頭説明を含む《誤認を誘導する意図があった》と判断され、事業者は《不当表示による不正利得》《ポケモン福祉上の配慮義務違反》の両面で責任を問われた。

さらに、展示のために表に出されていたペロッパフは、店舗の香料環境に長期間晒され、嗅覚に一時的な異常をきたしていたことも明らかに。
これを受けポケモン保護団体による保護要請が出され、事件後まもなくしてペロッパフはヴァルディ氏の元を離れ、療養のため専門施設へと移された。

 

ヴァルディ氏は会見の最後に静かにこう述べた。

『私は守るべきものを、大切にすべきものを履き違えていました。
規模拡大せず、小さな店であの子とともに嘘偽りない、夢の香りがするスイーツを皆さんにお届けするべきでした。

量産が可能になった際に《キミがいなくても大丈夫》とあの子に笑顔で伝えていました。
側にいてくれるだけで嬉しかったから…ただ、それがどれだけあの子を傷つけていたのか…

ちゃんとありがとうをもっと伝えたかった。
あの子にも、あの子と作ったスイーツを喜んでくださるお客様にも。』

 

事件後、【ALO-FAIR(アロフェア)】は事実上の活動停止状態となり、従業員は解散。
看板を掲げていたショッピングモールも謝罪文を発表し、被害者への商品代金返金と関係機関への協力姿勢を示した。

ただ、その一方で、過去の本物の香りと味を知るファンの間では今も《あの味は忘れられない、またいつか食べたい》という声も絶えない。

甘さに込められた想いと責任。
そのバランスを見誤ったことで崩れた信頼は、二度と元には戻らない。

――文・【ヒナ・カミヤマ】(アローラ経済通信)


【管理人の感想】

明確な犯罪行為であるが、それでもなぜか誰も悪者に見えない、悲しい話だなと感じた。
ヴァルディ氏はペロッパフを無理やり酷使したとか、金儲けだけが目的だったというわけでもない。
ただ二人でで作ったブランドを守りたいという一心と、パートナーを労わりたいという気持ちが、最悪の形でねじれていったように感じた。

ヴァルディ氏の【キミがいなくても大丈夫】と言ってしまった時の事を考えると心がキュッとする。
本人にとっては労りの言葉だったんだろうが、それがペロッパフにどう届いたのかは今となっては誰にも分からない。
ただ、その後も出番を待ち続けていたということから、やはり頼られ、手伝える事に誇りと喜びがあったのではないだろうか。

本物の味を守るために、人工香料を極限まで調整して再現に《ほぼ成功》してしまったのはある意味最大の不幸だったのかもしれない。
事件発覚のキッカケが《香りが人工的》と気付き、《ブランドを騙る別の店かも》と思った一人のファンだったというのも皮肉といえる。
どれだけ丁寧に再現しても、本物と偽物には越えられない壁があるんだと思い知らされる。

 

結局のところ、ヴァルディ氏もペロッパフも、きっと途中で辞める勇気を持つべきだったんだと思うが…
でも、それが一番難しいということも痛いほど伝わってくる。

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