【未解決】砂嵐の迷宮

発生日時:1999年5月17日
発生場所:イッシュ地方 リゾートデザート
関与ポケモン:フライゴン(野生)


【未解決】砂嵐の迷宮

1999年5月17日、イッシュ地方の観光地として知られる【リゾートデザート】で、突如として発生した異常な砂嵐により観光客が多数行方不明となる事態が起きた。

 

当日の天候は快晴で気温は例年よりやや高い程度であり、観光局も『通常通りの案内を問題なく行える状態だった』と説明している。
しかし、正午を少し過ぎたころ、砂原の中央ルートを進行していた複数の観光団体が突如として視界を完全に遮るほどの高密度の砂塵に包まれた。

爆発的に強くなった砂嵐は威力を弱めることなく数時間継続し、その後《空に舞い上がるように消えていった》という。
その際、34名が行方不明となり、関係者による通報を受けたイッシュ地方災害対策本部は速やかに救助隊を派遣した。

その日のうちに23名が現場から数キロ離れた場所で保護され、残る11名も翌朝までに全員発見された。
いずれの遭難者も軽度から中度の脱水症状を起こしていたが、即座に搬送・治療が行われたことで命に別状はなかった。

 

救助された観光客たちの証言はある共通点を示していた。
まず挙げられたのは《突然の方向感覚の喪失》
続いて《目を開けていられないほどの砂嵐》
そして《絶え間なく耳を打つ羽音》《地響きのように体内に響く低音の振動》とのことだった。
これらの証言は通常の自然現象とは明らかに異なる不自然さを帯びていた。

実際、気象観測局が残したデータにもその異常性は現れている。
事件当時、突風や気圧変動といった通常の砂嵐の前兆は一切観測されていなかった。
なのに唐突に《特定の地点に局所的で濃密な砂嵐が発生》し、しかもそれが数時間にわたって持続。
最終的には《渦を巻くようにして空へ昇っていく》様子が一部の観光客により目撃されている。

さらにその時、上空に消えていく砂塵の切れ間から空を舞う複数の影が目撃されている。
証言によるとそれは野生の【フライゴン】だった。

フライゴンは《砂漠の精霊》と呼ばれることもあり、その羽ばたきによって砂塵を巻き上げることが知られている。
彼らの発する羽音は独特で、砂嵐の轟音と混ざれば《唸るような響き》に聞こえることも確かにあるといえる。
そのため、今回の砂嵐は複数のフライゴンが発生させたものではないかと示唆されている。

 

しかし一方でフライゴンは通常人間を攻撃対象とはせず、むしろ一定の距離を保って関わらない性質を持つとされている。
今回のように人間の活動圏で意図的な攻撃とも思えるような行動を取った例は過去に記録がなく、研究者の間では大きな波紋を呼んでいる。

現地のレンジャーや生態学研究者によれば今回の砂嵐はフライゴンによる直接的な攻撃というよりも《防衛本能による反応》ではないかという意見も出ている。
例えば、巣域の侵入や縄張りの侵犯、外的な磁気・音波・地質的要因、あるいは天敵の接近を感知したことで彼らが防衛的行動を取った可能性。

また一部、フライゴン愛好家のトレーナー間では逆に今回の砂嵐は《フライゴンの意図とは無関係に発生した》ものであり、彼らがその現象を抑制・封じ込めるために集まっていたのではないかという説を強く唱えている。
この仮説はフライゴンの飛行経路に合わさるように砂嵐の収束が発生していたということから有力説として一定の支持を得ている。

 

事件後イッシュ地方観光局はリゾートデザート内の全ルートを見直し、フライゴンの出現時には必ずガイドが同行する措置を義務化。
加えて、最新の砂塵感知機器の設置や観光グループの行動範囲制限が行われ、再発防止に向けた取り組みが続いている。

だが、原因の全容は依然として解明には至っていない。
あの砂嵐は自然の気まぐれだったのか、それとも何かに反応したフライゴンの意思だったのか。
それを知る術はもうあの砂原の彼方にしか存在しないのかもしれない。

静かだった砂の大地が一瞬にして《迷宮》と化したあの日。
風が止んだ後もその謎だけが今なお砂の下に埋もれている。

――文・【ハマダ・シノブ】(イッシュ地理異常記録班)


【管理人の考察】

フライゴンはなぜ群れていたのか

リゾートデザートで観測されたのは単体ではなく複数のフライゴンだった。
これまでの観測記録によれば、野生のフライゴンが複数同時に人目にに触れるケースは極めてまれであり、自然な移動や食餌活動とは異なる目的があった可能性が高い。

特に注目すべきは砂嵐の中心に複数体が同時に姿を現し、その直後に嵐が収束しているという点である。
これは彼らが偶然居合わせたというより、ある種の集団行動によって一斉に何かに対処していたのではないかと考えるほうがやはり自然なのではないだろうか。
縄張りの防衛、人助け…あるいは集団で何らかの《儀式的行動》を行っていた可能性も否定できない。

嵐の中心にあった《意志》

事件当日に記録された砂嵐は気象的前兆が一切ない状態で突如発生したのはやはり到底自然現象とは思えない。
観光客の証言では《空に向かって渦を巻くように消えていった》とあるが、この現象も局地的な気圧低下や乱気流では説明がつかない。

通常の砂嵐では考えられないことから、まるで何かの意図に従って起きていたかのように思える。
その中心にいたフライゴンたちが偶発的に発生した嵐に巻き込まれたのか、それとも嵐の生成と収束そのものに関与していたのかは定かでないが、《偶然居合わせた》とするにはいささか出来すぎた流れであるので、確実に何かしらの形で関与していると思われる。

観光客を襲ったのか、守ったのか

証言の中にあった《耳を打つ羽音》《体に響く振動》はフライゴンの飛行によって生じる特徴と一致する。
だが、確認した限りでは観光客を直接攻撃したという報告は一つもない。
結果的に負傷者もなく、異常現象にしては全ての遭難者が比較的短時間で救助されている。

さらに、フライゴンが目撃されたタイミングは《嵐が引き始める直前》であったと考えられることから、やはり嵐を終わらせるために飛来したのではないかという説が最も納得できるものなのではないだろうか。
もし本当にそうならあの行動は敵意ではなく《救助活動》であり、フライゴンたちは人間の被害を最小限にとどめてくれたといえる。

《迷宮》と化した砂漠

この事件の最大の異常は砂嵐が発生した際に34名もの人がはぐれ、行方不明になったことである。
ベテランガイドもいたため通常であれば全員が同じ位置で留まるか、密着して同じ方向に移動するものと思える。
さらに、基本的に平坦な砂原であるリゾートデザートでは多少離れたとしても目視で人がすぐに確認できるという。
そのため砂嵐が発生したとしても遭難リスクは低いとされてきた。

だがこの日ばかりは多くの人々がバラけてしまい、吹き荒れる砂嵐の中で移動など困難であるにも関わらず、数キロ離れた箇所までまるで瞬間移動でもしたかのように遭難していた。
もしフライゴンが救助活動のために集まっていたとしたら、この現象を引き起こした《ナニカ》はなんの目的でこのようなことをしたのだろうか。
もしくは、《ナニカ》を行おうとしたが失敗に終わったため長距離移動のみという中途半端な状態になっていたとも考えられないだろうか。

風とともに消えた真相

事件後、観測機器の増設やルートの再整備といった対策を促したが、肝心の《あの嵐が何だったのか》という問いに明確な答えは出ていない。
砂嵐の発生原因も、フライゴンの行動理由も、どれも推測の域を出ていない。

けれどあの日、観光客たちが見たもの、感じた音や光景は単なる自然災害ではなかったと考えざるを得ない。
あの迷宮はもしかすると、何かの実験もしくは警告だったのかもしれない。

その答えはあの砂原のどこか、あるいは遥か上空に今もなお埋もれているのだろう。

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